人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

理想への一歩

希望に満ちて手に入れたはずだったのに、今となっては向かい合いたくない現実である。

手帳。

愛飲しているフランジアのパック1つ分の値段のそれは、使いこなせば理想の人間に生まれ変われるはずであった。

大きな目標を立て、それを達成するために毎月小さな目標を立て、それを達成するために細かく予定を書き込んでいく。

その通りに生活すれば、手帳が終わる頃には理想の自分になっているのである。

買ったのは10月。

私は希望を胸に、手帳のメモのページに「健康的な生活」、「規則正しい生活」、「趣味を広げる」、「教養を身につける」と大きく書いた。

すでに今見ると爆笑である。子供の夏休みか。

10月の目標は、欲をかかずに「手帳活用の定着」であった。

10月最初の予定は「コンポ使い方聞く」。

新しく買ったコンポは聴く事しかできず、もっと広く使いこなしたいと常々思っていたのだ。

11月の目標は「手帳活用、軌道に」であり、まだ「コンポの使い方」という予定が書かれている。

そして今月、12月。

今日初めて開いたのだ、観念して嫌々。

冷蔵庫で腐りかけた肉に向かい合うような気持ちだ。

先月と先々月のスケジュールを見ると、書いただけで全く行動に移されていないことが良く分かる。

だいだい11月20日の「茶づけ!!」の意味が分からん。

コンポの使い方も聞いていないのに、「デジカメ→PCへのやり方」が増えている。

まぁ増えようが減ろうが、もう絵を描いたようなもので、何の意味も持っていやしないのだ。

私はボールペンを握り、今月の目標のところに「手帳を開く!!」と書いた。

これをクリアしないことには、理想の自分にはなり得ない。

軌道に乗せるのも定着も、私には高すぎるハードルだったのだ。

「開く」、ここからである。

そして今週こそ、コンポの使い方を聞く。

「覚える」ではなく、聞くだけなのだ。

これをクリアしないことには、理想の自分にはなり得ないのである。