やっちまった・・・・・・・・・。
あの店に行くと、もれなくやっちまう。
あぁもう恥ずかしい、恥をかきに行っているようなものである。
一体私はあの店で、何と呼ばれているだろうか。
昨日は会社の飲みを諦めて、その代わりにダンナと飲みに出たのだった。
合計3軒のハシゴだが、終着駅は例の音楽バーである。
ボトルがなくなっているほど久しぶりになってしまったが、ずいぶん店の雰囲気は変わってしまっていた。
レイアウトのせいもあるかもしれないが、スタッフに派手な女性が増えていてビックリだ。
知った顔もない。
カウンターは一杯だったのでテーブル席になってしまった。
そこに女性がひとり相席したが、この人がもうひとりで勝手に喋る喋る、初めて会ったというのに一方的に自分の話ばかりされて、正直かなりウンザリした。
「これ飲んで、もう帰ろう。」
彼女がトイレに行った隙にダンナと言い合った。
客の演奏の方もかなりクオリティが上がっていて、もう私達の居場所はどこにもなくなってしまった感じだ。
そんな時にマスターが「一曲、やりましょうよ」と声を掛けてきた。
や、もう、あんな上手い演奏の後で無理ですって。
私達はもっとこう、酔った勢いで遊び感覚でやりたかったのだ。
しかし、テンションは下がってはいても、確実に酔ってはいた。
あっさり乗せられて、気がついたらいつものようにステージに立っていた。
曲はなんと、イエスタデーだぞ(笑)
ハハハハハ(泣)
そんなところから、ぽ子の恥かきNIGHTが始まるのである。
やがて知った顔もチラホラ見え出し、相乗効果でボルテージが上がっていく。
タバコ、ガンガン吸ってしまった。
ムナクソ悪い客がいてキレそうになったが、常連のようで、ここで書くと簡単に特定されてしまいそうなので書くに書けない。
まぁ色んな人がいる。
もう喋らなければいい。
しかし、私のテンションが上がるにつれ、ダンナのテンションはどんどんしぼんでいった。
彼はついにスッキリした顔で「もう帰ろう」と言い出した。
えー、面白くなってきたんだけどなぁ、しょうがないねぇ、と席を立とうとしたらマスターが「ピアノで1曲」と言い出した。
ピアノはプロ級がいたし、だいたい急に言われても私には持ち曲がない。
いきなり弾けるのはアレぐらいである。
「あのー、どうしてもというならレットイットビーしか弾けませんが。」
レットイットビー(笑)
プロ級の前で、しかもこの曲、さっきやってた。
「いいいい、もう全然いい、やっちゃいましょう!!」
こういう時、本当にマスターってうまいなぁと思う。
何だかんだ言っても、本当は演りたいのである。
「誰か歌ってくれませんか?」と声をかけに行ったら、あら?アナタ、この間いましたねぇ、歌ってください、歌詞分からない、適当でいいです、でも、そんな感じで無理やり引っ張り出しだ。
彼は「この店最高~~♪」か何か、本当に適当に歌ってくれた。
これこれ、このユルいノリが好きなのだ。
ボロボロのレットイットビーを終えると店を出た。
マスターはちゃんと見送りに来てくれ、クソはいたが、気持ち良く店を後にすることができた。
あぁもっと練習してちゃんと弾きたい。
今回も強くそう思ったのであった。