人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

『ユースケ』に捧ぐ

やっちまった・・・・・・・・・。

あの店に行くと、もれなくやっちまう。

あぁもう恥ずかしい、恥をかきに行っているようなものである。

一体私はあの店で、何と呼ばれているだろうか。

昨日は会社の飲みを諦めて、その代わりにダンナと飲みに出たのだった。

合計3軒のハシゴだが、終着駅は例の音楽バーである。

ボトルがなくなっているほど久しぶりになってしまったが、ずいぶん店の雰囲気は変わってしまっていた。

レイアウトのせいもあるかもしれないが、スタッフに派手な女性が増えていてビックリだ。

知った顔もない。

カウンターは一杯だったのでテーブル席になってしまった。

そこに女性がひとり相席したが、この人がもうひとりで勝手に喋る喋る、初めて会ったというのに一方的に自分の話ばかりされて、正直かなりウンザリした。

「これ飲んで、もう帰ろう。」

彼女がトイレに行った隙にダンナと言い合った。

客の演奏の方もかなりクオリティが上がっていて、もう私達の居場所はどこにもなくなってしまった感じだ。

そんな時にマスターが「一曲、やりましょうよ」と声を掛けてきた。

や、もう、あんな上手い演奏の後で無理ですって。

私達はもっとこう、酔った勢いで遊び感覚でやりたかったのだ。

しかし、テンションは下がってはいても、確実に酔ってはいた。

あっさり乗せられて、気がついたらいつものようにステージに立っていた。

曲はなんと、イエスタデーだぞ(笑)

ハハハハハ(泣)

そんなところから、ぽ子の恥かきNIGHTが始まるのである。

やがて知った顔もチラホラ見え出し、相乗効果でボルテージが上がっていく。

タバコ、ガンガン吸ってしまった。

ムナクソ悪い客がいてキレそうになったが、常連のようで、ここで書くと簡単に特定されてしまいそうなので書くに書けない。

まぁ色んな人がいる。

もう喋らなければいい。

しかし、私のテンションが上がるにつれ、ダンナのテンションはどんどんしぼんでいった。

彼はついにスッキリした顔で「もう帰ろう」と言い出した。

えー、面白くなってきたんだけどなぁ、しょうがないねぇ、と席を立とうとしたらマスターが「ピアノで1曲」と言い出した。

ピアノはプロ級がいたし、だいたい急に言われても私には持ち曲がない。

いきなり弾けるのはアレぐらいである。

「あのー、どうしてもというならレットイットビーしか弾けませんが。」

レットイットビー(笑)

プロ級の前で、しかもこの曲、さっきやってた。

「いいいい、もう全然いい、やっちゃいましょう!!」

こういう時、本当にマスターってうまいなぁと思う。

何だかんだ言っても、本当は演りたいのである。

「誰か歌ってくれませんか?」と声をかけに行ったら、あら?アナタ、この間いましたねぇ、歌ってください、歌詞分からない、適当でいいです、でも、そんな感じで無理やり引っ張り出しだ。

彼は「この店最高~~♪」か何か、本当に適当に歌ってくれた。

これこれ、このユルいノリが好きなのだ。

ボロボロのレットイットビーを終えると店を出た。

マスターはちゃんと見送りに来てくれ、クソはいたが、気持ち良く店を後にすることができた。

あぁもっと練習してちゃんと弾きたい。

今回も強くそう思ったのであった。