人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

漣と、ペガサスと、一中と

「一中バンド、やることになりましたので、それなりに準備しておいてください。」

スーさんからのメッセージを聞いたのはライブ前日の深夜、飲み過ぎのベッドの中であった。

ええっ!?決行!?

諸事情で中止になったはずだったのだが、前夜、急遽12曲プラスである。

幸い、一番コンスタントに練習していたバンドだったので助かったが、二日酔いの頭で「何やるんだったっけ・・・」とグルグル考えながら、再び眠った。

しかし、当日の練習は漣バンドの方だ。

1時からスタジオ、ライブは6時オープン。

漣バンドから始まって、一中バンドは8時から。

どう飲めと。

前にも書いたが、私は歌と酒は切り離さない事に決めたのだ。

しかし、練習の段階から飲んでしまえば、8時までもたないだろう。

スカッと歌えないまま3時間の練習を終え、Pに向かう。

その時点で5時ごろだったが、このままでは漣バンドのスタートに酔いが追いつかない。

ウィスキーを飲み、芋焼酎をお湯で割り、かち割りワインを煽る。

緊張しているのだ、通常よりめぐりが悪い。

こんなに煽って飲んで、一中バンドはどうなってしまうのか、不安はあったが酔わない不安の方が大きかった。

グビー。

1曲目は松井さんボーカルだったからまだ余裕はあった。

2曲目に自分の番になり、私は精一杯歌った。

これは本番なのだ。この日の、この時のためにずっと頑張ってきたのだ。

精一杯歌った。

精一杯。

グゲエ。

歌い終わったら、まるで胃の入り口につかえていたアルコールが一気に落ちてきたみたいに、胃袋がカーッと熱くなり吐きそうになった。

それではあまりにも印象的過ぎる。その事態は何としても避けたい。

あの時私が吐き気と戦っていたとは、誰も気付かなかっただろう。

私だって、ボーカリストがライブで吐きそうになっているなどという事態は、想像すらした事がない。

くそー、飲みゃあいいってものではないのだ。

時間をかけてじっくりと飲らなくてはいけない。

メンバー紹介の間に吐き気は収まったので助かったが、危ないところであった。

客席左側の前の方には、前回のライブでむっちゃくちゃ上手かったメンバーが座っていた。

ボーカルは女性で、プロ並の歌声に貫禄。

感動したので酔った勢いでクドクドその歌声を称えたものだが、そんな人がすぐそこに座っているのである。

一方ダンナもそのバンドのギタリストも上手かった事を覚えていて、ふたりで「非常にやりづらいEE:AE4E6」とビビッていたEE:AEB64

しかも曲が1曲かぶっていて、恐れ多くもごめんなさいである。

皆さま優しいので「良かったよEE:AEAAB」と言ってくれたが、ほんとすみません、もっと頑張って練習して、本気で「良かった」と思えるようにして差し上げたく。

2つ目のバンドは、いつも練習に行っているスタジオMのバンド・・・の予定が、メンバーが急に来れなくなったとかで、バイオリンのミナミちゃんがひとりで演奏した。

これもう感動の嵐。「良かった」とはここに使うべき言葉である。

上手い人と言うのは、ただ弾けるだけではないのだ。

自分の体の一部のように、使いこなしている。思い通りに音を操る事ができるのである。

今回は打ち込みに合わせて弾いていたが、ぜひ生で聴きたいものだ。

一中バンド。

「待ちなげぇからもう酔っちまったよ、ア~EE:AE4E5

こ、これは、いつもの練習のタケダ節が、マイクからだだ漏れである。

私ももう酔っちまったよ、ア~。

でも、お陰で緊張はすっかり解け、楽しくできた。歌詞、一部遭難したが。

バンドのみなさん、ありがとう。

観に来てくれたみなさん、ありがとう。

その後はいつものPだ。

セッションを楽しんで、漣に向かった。

しかしそこでは鈴木家を中心とした派手な打ち上げが催されており、酔った私ですら驚くような盛り上がりで、座る場所がなかった事もありPに戻ってきてしまった。

ダンナは置いてきた。

「・・・という事で、戻ってまいりました。」

Pに戻るともうスタッフしかいなくなっていた。

客のいなくなった店で静かに、しかし楽しく飲む。

「私とダンナと、どっちが先に家に帰るだろうね。」と言って2時半ごろPを後にしたが、果たしてダンナはまだ帰っていなかった。

私はすぐ寝てしまったが、聞けばダンナは5時ごろまで漣で飲んでいたそうな。

漣のマスターが、「男は女房がいない時の方が輝くのEE:AE5BE」と言っていた事があるが、それはどうやら真実らしい。

しかもダンナはギターとベースを担いで歩いて帰ってきたとか。

なんでそんな苦行を・・・。

ひとりでタクシーに乗るのはもったいない、と言ったが、あなたがそんなに節約しても、私は平気でタクシーを呼びつけて帰るのである。

いや、だから彼が節約するのかもわからないが、ただ単に酔っ払ってたんじゃないのか、と言いたくもある。

いずれにしろダンナの行動は美談である、私はバツが悪い。

しかしダンナは二日酔いでクタクタだ(笑)

一日中、「う~い~~」と、スタジオ練習のタケダさんみたいな声を出していた。