鏡を見る。
毎日嫌でも向かい合う顔だ。
自分を綺麗に見せたかった若い頃は見る度にうんざりしたものだが、この歳にもなるともう何も感じない。いつもの顔でしかない。
そんないつもの顔が、何かに似ていることに気が付いたのだ。何に?誰に?
母だった。母の目によく似ていたのである。
ほとほと不細工であった。父と母の悪い部分を集めたような顔。
母に似た、尖った顎。膨らんだ頬骨。ゲジゲジ眉。
父に似た、薄い唇。
鼻は事故により折れて低くなっている。
目は父似で細く腫れぼったいものだったはずだが、どうしたことか母に似ていたのであった。
そういえばダンナも、以前はお義母さんによく似ていた。初めて会った時には笑えてしまう程だった。
ところがいつの頃からか、義父に似て来たのだ。今ではそっくりである。
私もダンナも、そう変わった訳ではない。昔の知り合いに会っても、「歳を取ったな」ぐらいにしか思わないだろう。
それでも不思議なことに、私達は変わったのだ。変わらないけど、変わったのである。
そんなことよりも加齢の変化の方が深刻だが、自分の中に残る母を見つけてちょっと嬉しくなったのだった。