人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

青ちゃんの息子

今週のお題「同級生」

 

同級生?????

先週末にお題が出されてからずっと考えているが、なかなか思いつかない。

80年代始め。私達の中学は10クラスもあり、ひとクラス仮に40人だとしたら400人の同級生がいたことになる。

しかし、仲の良かった人のことは書きにくい、嫌な人のことは思い出したくない、そうなるとあまり接点のなかった人しか残らないのである。

そんな中の一人だ。私は彼を、良く知らない。

 

中学を卒業すると、スナックを経営していた友人のお店に行くようになった。

友人の母親がママで、お酒は出ても「安全地帯」だ。昭和の古き良き時代。常連のお客さんに、良く奢ってもらったものである。

「青ちゃん」は、いつもひとりで来ていた。

青い作業着を着て、仕事帰りに寄っていたようである。

小柄で、いつもニコニコしていて、気さくで優しいおじさんだった。私達も「青ちゃん」「青ちゃん」と言って懐いたものだ。

 

やがて、青ちゃんの息子は同級生であることが分かる。同じクラスになったこともあった。

しかしその息子は静かで目立たず、喋ったことは一度もない。

それでも英語が堪能で、綺麗な発音で教科書を読み、みんなを驚かせることがあった。頭のいい男の子、それが彼の印象だった。

 

青ちゃんは否定した。それは多分、うちの息子ではないと言い切ったが、いやいや、やはり父親と言うものはこういう年頃の子供のことは良く分かっていないのだろう。

私達が会いたい、連れて来て、と何度も言ったので、ある晩、青ちゃんは本当に彼を連れて来たのだ。

何しろスナックという場所柄、ティーンエイジャーはなかなか来ない。私達は大いに盛り上がった。

しかし、学校も辞めてブラブラふしだらに生きている私と、優等生の彼に接点がない。

たったひとつの記憶、英語のことを聞いてみたが、どうやら本当に私の勘違いで、それは自分ではないと全力で否定した。「優等生ではありません」と言わせたみたいで気まずかった。

結局話は続かず、それっきりだ。

 

青ちゃんに似て、優しい人だった。

その後はうんともすんとも言ってこなかった。