人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

突然の訃報

シゲちゃんが、死んでしまった。

 

シゲちゃんに初めて会った時のことは、思い出すことができない。当時良く行ったミュージックバーで、気が付いたらもう知り合いになっていたのだ。

10年以上前のことになる。

こわもてヤンキーかと思いきや、中身はとてつもなくハートウォームな人だった。

いつも飲んでいて、いつも酔っていて、それでもいつもとても優しい人だった。

一時期、悩みがあってちょっと病んでいた頃、とてもドライで、しかし的確なことを彼は言った。人生を変えるようなそのアドバイスは、結局勇気がなくて実行はしなかった。

結果的に、長い時間をかけて勝手に運命は好転してくれたのだが、シゲちゃんの言葉は忘れていない。

 

ライブの客席で、ボトルワインを抱えて最前列のど真ん中に座り、「食いますか?」とつまみを差し出した。持ち込みww

温厚でおっとり優しい彼も、マスターにだけは甘えていて、良く絡んでいた。

ボウイのコピバンで良く出ていたが、弾き語りなんかも時々やっていたように思う。

10月にもライブイベントで出演するはずだった。

最後に会ったのは、先月末の街ジャムだ。

演者の前をゆっくり横切って行ったが、相当飲んだようでひと足に5秒ほどもかけてゆ~~~っくり移動、その後関係者席のイスに座ろうとしたが、それもまた非常にゆ~~~っくりで、見ていた私達は思わず「あ、あ、頑張れ、よいしょ!」などと声が漏れたものだ。

あれが彼の基本形である。病気があったことは聞いていたが、そうやってこれまで生きてきたのだ。まさか、こんな日が来るなんて思いもしなかった。

 

わりとこまめにFecebookの投稿をしていたが、彼自身の投稿は滅多になく、そのほとんどが仲間のライブの告知や応援している飲食店のリンク、迷い犬や動物の殺処分に反対する記事リンクであった。

人は大事にするのに、もうちょっと自分を労われたら良かったよ。

 

「ポゴさん。」

ロレツの回らない口調で、彼は言う。

シゲちゃん。

「シゲちゃんて、大五郎に似てるんだよ。」

「大五郎?」

「うちの猫。」

「ね、猫・・・。」

喜んでくれると思ったんだけど。

 

明日みんなでお別れに行くよ。

突然逝っちゃって、私はちょっと怒ってるからね。