人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

真夜中の戦士

ドドット、ドドドドッ、ドドット、ドドドドッ。

 

深夜0時が近くなると、いい時間帯に入る。

こんな時間に起きているということは、ほとほと酔っているということだ。

ダンナも寝てしまい、私はためらわずにスマホのゲームを立ち上げる。

まるで映画音楽のような勇ましいBGM。私の気持ちも高揚していく。

戦闘機に乗るゲームだ。

一人で黙々とゲーム上の敵を倒していくのも楽しいが、私は酔ってちょっと大胆になっている。生の人間と戦うのだ。世界中の戦士と。

オンラインモードを選ぶと、マッチングが始まる。5秒。10秒。なぜかこの時間帯はプレイヤーが多い。敵も、味方も、すぐに見つけることができる。

 

相手はCPUではないのだ。私のように感じ、考え、ここでスマホを握っている。緊張感もひとしおだ。負けたくない。

それだけに、勝った時の気持ちもひとしおだ。酔っているので喜びも倍増。

私は無料プレイ分を使い切るまで、対戦を繰り返す。しかし。

 

その時私は戦士ではあるが、家庭の主婦でもあるのだ。翌日の朝ご飯の下ごしらえもしなくてはならない。なので、キッチンに立ちマッチングの短い時間にも、調理などしているのである。

 

世界中の戦士たちよ。

あんたの敵が、まさか納豆練りながら戦ってるとは思いもしないだろうね。

 

ドドット、ドドドドッ、ドドット、ドドドドッ。

「グッジョブ、よくやったぞ兄弟」仲間からのメッセージが飛んで来る。

納豆の練り上がりはもうすぐだ。