人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

The Blue ”SURF” Blues・1

残された時間は、あと2週間。それは突然決まった別れだった。

 

「維持費のことを考えると、そろそろ本気で買い替えを考える頃かと。」ダンナが言った。

憧れて、憧れて、憧れて、そして背伸びしてやっと買った愛車であった。乗り潰すまで乗るつもりだったが、高額な維持費、劣化によりちょいちょい見舞われる不具合。こんな車に乗るのはもはや贅沢の域になっているのではないか。オンボロなのに、理不尽でもある。

1998年式ハイラックスサーフ。塗装の剥げ。迫る車検。ここにきてエアコンが壊れ、ついに手放す決心したのだ。しかしはっきり言いたいが、25年落ちのハゲだろうが、私達にとって最高の愛車であることに変わりはない。問題は維持費だけなのだ。悩んだが、エアコンを直し、車検に出し、となると次の車検までは乗ることになるだろう。劣化は進み、また何らかのトラブルを起こす可能性は高い。そして、その可能性は年々高くなっていくのである。このループから外れるなら、早い方が経済的ダメージは少ない。

 

しかし、次に乗りたい車は全く浮かんでこなかった。自分たちにとって最高の車に乗っていたのだから、当然と言えば当然だ。改めて外を走る車を見てみるが、心を動かすような車は現れない。というか、現状に満足していたため、最近の車種が完全に浦島状態になっていたのである。なんかずいぶんみんな鼻が短くなったよね!?

 

そこでまず、「どんなタイプの車に乗りたいのか」というアプローチから絞ることにした。

キャンプには行きたいから、そこそこの大きさは欲しい。

SUV車というのか?できればステーションワゴンタイプ。

ネットでアウトドア向けの車種など調べ、ざっくり絞って近所の中古車センターへ見に行く。

25年の時が流れていたのである。それは車の開発も同じだ。25年分進化した車を見て、私達は舞い上がった。即決(笑)赤いフリード+。

後になってさすがにちょっと早まったかと不安になったが、これでいいと信じることにする。余計なことは調べない。最高でラッキーな出会いだったと思うことにした。

 

ところがだ。迷いは別の方向から来た。サーフとの別れだ。

25年間、当たり前にそこにいた。それはあまりにも当たり前で、別れることなど考えたことがなかった。このサーフがなくなる事実が現実として迫った今、この車は自分が思った以上に「家族」だったことを知った。別れがつらく、恥かしながら毎日メソメソしている。

 

まだ売却先は決まっていない。

まぁ色々大変だ(笑)

その辺のことも、これから少しずつ書いていかれたらと思う。

 

 

泣いちゃうのでカラオケで歌うのを禁止した、爆風スランプの「The Blue Bus Blues」。

私達のサーフはオンボロだけどポンコツなんかじゃないよ!

 

僕らの大きくってすいません号は
おんぼろ ポンコツ 青いバス
いつでもモクモク 煙吐いて
僕らを旅に連れてった
東へ 西へ 高速
かっとばして
ベースと ギターと ドラムと
夢をのせて
ライブ・ハウスへ 乗り付けろ
たとえガソリン途切れても
押してやるぜ 大丈夫

夜には大きくってすいません号は
ホテルのかわりも してくれた
貧乏 アマチュア ぼくたちは
おまえの中で寝ていたよ
天気のいい夜には 屋根の上に
ダンボール敷いて寝てたよ
星がみえて

いつか 大きな星になれ
そんな冗談言いながら
大きな声で笑った

その時 僕らみんな 言葉もなく
朝焼けなのか
二度とは動かぬ おまえの
ほこりまみれの その体に
掌の平あてて たたいたり
なでたりしてたのさ
いっしょだったね いつも
咳込むように 走ってた
小さくなるまで 見送った
朝焼けの中 引かれてく
おまえのさいごの姿

いつか 大きな星になれ
そんな冗談言いながら
大きな声で笑った
いつか 大きな星になれ
そんな冗談言いながら
大きな声で笑った