金曜の夜。
コロナの制限も撤廃され、飲み屋はどこも混んでいた。
私達が向かった大型チェーン店にも待ちが一組いたが、空席が多く、どうも「混んでいる」というよりも「人手が足りずに待たされている」という風に見えたので、待つことにしたのだ。
席にさえ座れれば、問題ないだろう。
見たところ、テーブルの後片付けや洗い物は後回しにしている。ということは、案内やオーダーを優先しているに違いない。
それにしても、洗い待ちのジョッキが大量に溜まり、テーブルの片づけは新しいお客さんを通すために直前にひとつ片付けているような状態だ。忙しそうである。
ここで察するべきであった・・・。
とにかく忙しそうだったので、テーブルに着いたらサッサと注文してしまうことにした。
目当ては2時間の飲み放題であった。
ところがこの注文方法が、非常に分かりにくい。
タッチパネル方式なので、直接聞いて確認することができない。忙しそうだし。
いくつかあるコースの中からひとつを選ぶと、「注文内容を確認しました(つまり、ちゃんと読んで納得しています、みたいな)」という項目だけがあり、「0円」になっているのだ。0円て。
良く分からないが、これを2つ頼んで注文履歴を見ると、自動的に付くお通しが4つになっていた。キャンセルもできない。
仕方なく店員さんを読んでリセットしてもらったが、また0円問題だ。
どうにも進められないのでまた店員さんを読んで、見てもらいながらオーダーした。やっと通った。
するとこんなものが来た(笑)
私達は最初にビールを飲もうと思っていたのだ。
しかしタッチパネルに飲み放題の注文欄がない。
店員さんも感じのいい人なのであまり煩わせたくないのだが、このどれも、飲む予定ではないものである。
「ビールを注文したい」と言うと、このセットは、飲もうが飲むまいが自動的に出て来るものとのこと。ちなみにピッチャーの中身は、水ではなく炭酸だ。
で、これ以外のドリンクオーダーは、お店側でタッチパネルの操作をしないと出てこないものだったらしく、やっと出してもらった。しかし出たのはほんの一瞬であった。
「・・・なくなった・・・。」
それでも私達は、何度もタッチパネルをあちこち触れてみた。できれば店員さんを呼びたくない。正直なところ、あまりにも忙しそうで気の毒になっていたのである。
それでも、飲み放題は時間制だ。時間は過ぎて行く。結局また店員さんを呼ぶ羽目だ。
彼女たちも、辛抱強い。どの人も笑顔を絶やさず、申し訳ありません、と対応はしてくれた。
さて、やっとビールのオーダーが通ったが、今度はそれが来ない訳だ(笑)
催促もためらわれる状態だ。客が同情するほどの忙しさなのである。
「あの~、自分で持って行きますから・・・。」隣のお客さんが席を立ち、カウンター越しに直談判してビールを貰っている。こ、これは、大人しくこのテーブルのウィスキーか焼酎を飲むのが賢明か。
やっとビールが来ると、今度はつまみだ。こうなることを見越して最初に一気に頼んであったが、「すぐ出るつまみ」というのがひとつ、出たっきりである。
そしてビールを飲み終わってしまう。
「・・・・・・・もう出ようか。」
「・・・・・・・うん。」
飲み放題が成立しない予感がしたし、これ以上ここにいてもいいことがなさそうだ。
まだ来ないつまみはキャンセルし、ビールは単品で払うことにした。お通しは来なかったので、チャージはなし。
単品ビールが激安の180円だったため、会計は759円(笑)
「頑張ってくださいね。」
私達の前に支払いを終えた家族連れが、店員さんに声を掛けていた。
「頑張ってくださいね・・・。」
私達も言っていた。
ホールは戦場であった・・・・・・。