人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

温もり

去年の12月に死んでしまったミュウのことで、ひとつだけ書いていないことがある。

今でもとても強く心に残っているので、書き残すことにした。

20歳。人間でいえば96歳とのことだ。回復ははなから諦め、看取りに入っていた。

願うのは安らかな最期。

治療はしないので、自力で最善を尽くすことになる。

ネットの情報だけが頼りだった。

最期が安らかになるかどうかは神のみぞ知るで、その時その時にできることをするのみである。

ただひとつ。できるなら私は、自分の腕の中で看取りたかった。

そのためには、その前兆を知る必要がある。

ネットの情報、経験談などを読み漁ったものだ。

これは私の結論だが、「前兆」は、恐らく分かる。ごく感覚的なものだ。

ネットの情報も参考にはなったが、いかんせん色んなケースがある。

ラッキーのケースもミュウのケースも、それを見逃さずにそばにいられたのは、運が良かったと言える。

ミュウは願い通り、私の腕の中で逝った。

恐らくもう意識はなかったであろうミュウは、弱々しい呼吸をしていた。

私は座ってミュウを抱き、「その時」に備えた。

変な話だが、体の機能が止まることにより、最後におしっこが出ることがあるという。

ラッキーの時は痙攣を誘発しそうで抱けず、ペットシーツの上に寝かせていた。

ミュウの時は、ペットシーツごと抱いた。

そしてその瞬間。

弱々しい呼吸をしていただけのミュウの体に力が入り、突然グンと伸びたと思ったら、フッとそこから命は消えてなくなってしまった。

あぁ、逝ってしまった。

悲痛な最期ではなかった。娘と一緒に、穏やかに見送ることができたと思う。

ミュウを下ろし、ペットシーツを見ると、そこには最後のおしっこが残されていた。

温かかった。

最後の温もり。

ミュウが残した最後の温もりだ。

ミュウは逝ってしまったけど、まだ温もりだけは残されていた。

私はそれが、とても愛おしかった。

あれから半年が経とうとしている。

まだ涙なんか出るんだな、チクショウ。