去年の12月に死んでしまったミュウのことで、ひとつだけ書いていないことがある。
今でもとても強く心に残っているので、書き残すことにした。
20歳。人間でいえば96歳とのことだ。回復ははなから諦め、看取りに入っていた。
願うのは安らかな最期。
治療はしないので、自力で最善を尽くすことになる。
ネットの情報だけが頼りだった。
最期が安らかになるかどうかは神のみぞ知るで、その時その時にできることをするのみである。
ただひとつ。できるなら私は、自分の腕の中で看取りたかった。
そのためには、その前兆を知る必要がある。
ネットの情報、経験談などを読み漁ったものだ。
これは私の結論だが、「前兆」は、恐らく分かる。ごく感覚的なものだ。
ネットの情報も参考にはなったが、いかんせん色んなケースがある。
ラッキーのケースもミュウのケースも、それを見逃さずにそばにいられたのは、運が良かったと言える。
ミュウは願い通り、私の腕の中で逝った。
恐らくもう意識はなかったであろうミュウは、弱々しい呼吸をしていた。
私は座ってミュウを抱き、「その時」に備えた。
変な話だが、体の機能が止まることにより、最後におしっこが出ることがあるという。
ラッキーの時は痙攣を誘発しそうで抱けず、ペットシーツの上に寝かせていた。
ミュウの時は、ペットシーツごと抱いた。
そしてその瞬間。
弱々しい呼吸をしていただけのミュウの体に力が入り、突然グンと伸びたと思ったら、フッとそこから命は消えてなくなってしまった。
あぁ、逝ってしまった。
悲痛な最期ではなかった。娘と一緒に、穏やかに見送ることができたと思う。
ミュウを下ろし、ペットシーツを見ると、そこには最後のおしっこが残されていた。
温かかった。
最後の温もり。
ミュウが残した最後の温もりだ。
ミュウは逝ってしまったけど、まだ温もりだけは残されていた。
私はそれが、とても愛おしかった。
あれから半年が経とうとしている。
まだ涙なんか出るんだな、チクショウ。