近所のスーパーで、珍しくこんなネタ飯を売っていたのだ。
千円もしたが、こちとら自粛で暇、うっぷんも溜まっており、ちょっと刺激が欲しかったのである。
辛いものには比較的強い方だと自負しているので、気負いはなかった。
これまでレトルトやインスタントの激辛モノで、食べきれなかったことは一度もない。
調味料としてのサドンデスソースと辛辛粉、お店で食べたカレーで2度、痛い目にはあった。
しかしこういった市販のレトルトなどは、たいがい「優しさの余裕」があるものだ。手加減してくれている。
私は全く、心配していなかった。
さすが千円のカレー。とっても美味しそうだ。
匂いなどの刺激もなく、・・・・・・・・・油断した。
一口目でその辛さはすぐに伝わって来たが、まぁ辛いのは当たり前だ。余裕があるうちにかっ込んでいこう。ガッガッと勢いよく口に運んでいく。
辛い。辛いがいける。
そんな思いと裏腹に、涙がチョチョ切れてきた。
「すごく辛い」と伝えたいのだが、もう喋る余裕もない。千円のカレーだ、捨てたくない。進めるうちに、進め!
えー、この辺の運びもこの後の展開も、辛辛粉の時と全く同じである。あのギャフン体験を読んだ方は、この先コピペと変わらないので、こんなん読むより運動とかした方がいいです。
それは突然来た。辛い。じゃない、痛い。
猛烈な痛みが口内を襲った。私は立ち上がって混乱し、製氷機へ突進すると氷を口に含んだ。
それだけでは気が済まず、それを噛む。
氷が溶けると、また激痛が押し寄せてくるのだ。氷を口に、舌を冷やすように転がす。溶けてなくなったらまた氷、この繰り返しである。
氷を絶やすと、激痛だ。まるで拷問。
それでもやがて、座って大人しく氷を舐めるぐらいには落ち着いてくる。
どうなることかと思った。はぁ、まだ痛いよ。
やがて今度は、胃のあたりに痛みを感じるようになる。
ちょっと辛そうだ、横になった方がいいかと思った時にはもう遅い。痛みはどんどん加速し、頭の中は「痛い」、それだけで埋められていく。
「ちょ、寝るから、カレー出しっぱなしごめん」息も絶え絶えにダンナにそう言うと、ベッドに横になった。
横になったらなったで胃の内容物が動いたからか、痛み倍増。
慌てて体を起こすも今度は撹拌されたか、痛い範囲は広がっていく。
居ても立ってもいられず、トイレへ。
吐こうと思ったが、しゃがんだところでまた痛みが走る。いかん、下手に動くと胃の中の辛み成分も動いてしまう。
しかしせっかくしゃがんだのだ、またもう一度立ったりしゃがんだりすれば、そのぶん激痛体験が増えてしまうではないか。
吐こう。出した方がいい、こんなヤバいもの。
そんな気力は出なかった。痛い、ただもうそれだけ。
文字通り七転八倒、声にならない声を出して悶えていた。
救急車が一瞬頭をよぎる。助けて欲しい。
「どうしましたか?」
「激辛カレーを食べて、苦しんでます。」嫌ぁ!!
頑張れ、もうちょっと・・・、だけ・・・。
もうダメだ、トイレは私に何ももたらさない。ベッドに戻ろう。
ドアを開けるのも、立ち上がるのも、死ぬほど苦痛だ。
ヨタヨタと寝室へ向かい、ベッドに倒れ込む。痛い~~!!胃の中のカレーが動いた!!広がる広がる、姿勢を戻そう、ヨイショ。
体を起こすとまた別の範囲が激しく痛む。
さっきと同じじゃないか、なんだってリピートアゲイン、自分のバカ。
どうも横になると余計痛むみたいである。しかし私は休みたい。楽になりたい。横になりたいのである。
今度はゆっくりを体を横にする。電話でダンナを呼び、水を持って来てもらう。
水がまた・・・。
何だろう、胃の中の内容物が増えるからなのか??飲むと痛い。
しかしこんな辛くて痛いもの、薄めてとっとと出した方がいいんじゃないかという気になり、無理して飲んだ。
痛い!!
トイレに駆け込む。
吐け!!
いや、出せ!!
私はもう、混乱していたのである。下着を下したが、いくらなんでも早過ぎる。
出すなら上か。
お尻丸出しのまま、便器に顔を突っ込んだ。
おええええええ・・・・・。
出たw
やった、良くやった、これで少しは楽になるぞ。
持ち込んだ水を飲み、手を突っ込んで吐き、胃洗浄・・・。
30分ほど悶絶すると、やっと少しずつ落ち着いてきたのだ。
断続的に痛みはやってきたが、何とか乗り越えられるようにはなった。
最後に飲むヨーグルトを飲むと、疲れ果てて眠ってしまったのだ。
その通り。
INがあったということは、OUTもある訳で。
今度は激しい腹痛で目が覚めた。
出さない限り、この痛みは終わらないのである。トイレへと向かう。
ここでまた違う種類の痛みを体験し、やっと楽になったのであった。
翌日も、午前中はまだ時々お腹は痛んだ。半日は影響があるということだ。恐るべし。
こんなもの売るんじゃねえ、と言いたくなったが、ちゃんと箱にはクドいほど注意書きがしてあったのだ。自己責任である。
家にはあと、ペヤングの獄辛が控えている。
買ったからには食べるが、もう無理はしない(笑)
少しずつ試して、あんまり辛かったら他のものと混ぜてゆっくり食べることにする。
皆様も、無理するとこんな目に合いますので、本当にご注意くださいませ。