人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

近所のスーパーで、珍しくこんなネタ飯を売っていたのだ。

 

 

千円もしたが、こちとら自粛で暇、うっぷんも溜まっており、ちょっと刺激が欲しかったのである。

辛いものには比較的強い方だと自負しているので、気負いはなかった。

これまでレトルトやインスタントの激辛モノで、食べきれなかったことは一度もない。

調味料としてのサドンデスソースと辛辛粉、お店で食べたカレーで2度、痛い目にはあった。

しかしこういった市販のレトルトなどは、たいがい「優しさの余裕」があるものだ。手加減してくれている。

私は全く、心配していなかった。

 

さすが千円のカレー。とっても美味しそうだ。

匂いなどの刺激もなく、・・・・・・・・・油断した。

 

 

 

一口目でその辛さはすぐに伝わって来たが、まぁ辛いのは当たり前だ。余裕があるうちにかっ込んでいこう。ガッガッと勢いよく口に運んでいく。

辛い。辛いがいける。

そんな思いと裏腹に、涙がチョチョ切れてきた。

「すごく辛い」と伝えたいのだが、もう喋る余裕もない。千円のカレーだ、捨てたくない。進めるうちに、進め!

 

えー、この辺の運びもこの後の展開も、辛辛粉の時と全く同じである。あのギャフン体験を読んだ方は、この先コピペと変わらないので、こんなん読むより運動とかした方がいいです。

 

それは突然来た。辛い。じゃない、痛い。

猛烈な痛みが口内を襲った。私は立ち上がって混乱し、製氷機へ突進すると氷を口に含んだ。

それだけでは気が済まず、それを噛む。

氷が溶けると、また激痛が押し寄せてくるのだ。氷を口に、舌を冷やすように転がす。溶けてなくなったらまた氷、この繰り返しである。

氷を絶やすと、激痛だ。まるで拷問。

それでもやがて、座って大人しく氷を舐めるぐらいには落ち着いてくる。

どうなることかと思った。はぁ、まだ痛いよ。

 

やがて今度は、胃のあたりに痛みを感じるようになる。

ちょっと辛そうだ、横になった方がいいかと思った時にはもう遅い。痛みはどんどん加速し、頭の中は「痛い」、それだけで埋められていく。

「ちょ、寝るから、カレー出しっぱなしごめん」息も絶え絶えにダンナにそう言うと、ベッドに横になった。

 

横になったらなったで胃の内容物が動いたからか、痛み倍増。

慌てて体を起こすも今度は撹拌されたか、痛い範囲は広がっていく。

居ても立ってもいられず、トイレへ。

 

吐こうと思ったが、しゃがんだところでまた痛みが走る。いかん、下手に動くと胃の中の辛み成分も動いてしまう。

しかしせっかくしゃがんだのだ、またもう一度立ったりしゃがんだりすれば、そのぶん激痛体験が増えてしまうではないか。

吐こう。出した方がいい、こんなヤバいもの。

 

そんな気力は出なかった。痛い、ただもうそれだけ。

文字通り七転八倒、声にならない声を出して悶えていた。

救急車が一瞬頭をよぎる。助けて欲しい。

「どうしましたか?」

「激辛カレーを食べて、苦しんでます。」嫌ぁ!!

頑張れ、もうちょっと・・・、だけ・・・。

 

もうダメだ、トイレは私に何ももたらさない。ベッドに戻ろう。

ドアを開けるのも、立ち上がるのも、死ぬほど苦痛だ。

ヨタヨタと寝室へ向かい、ベッドに倒れ込む。痛い~~!!胃の中のカレーが動いた!!広がる広がる、姿勢を戻そう、ヨイショ。

体を起こすとまた別の範囲が激しく痛む。

さっきと同じじゃないか、なんだってリピートアゲイン、自分のバカ。

どうも横になると余計痛むみたいである。しかし私は休みたい。楽になりたい。横になりたいのである。

今度はゆっくりを体を横にする。電話でダンナを呼び、水を持って来てもらう。

 

水がまた・・・。

何だろう、胃の中の内容物が増えるからなのか??飲むと痛い。

しかしこんな辛くて痛いもの、薄めてとっとと出した方がいいんじゃないかという気になり、無理して飲んだ。

 

痛い!!

トイレに駆け込む。

吐け!!

いや、出せ!!

私はもう、混乱していたのである。下着を下したが、いくらなんでも早過ぎる。

出すなら上か。

お尻丸出しのまま、便器に顔を突っ込んだ。

おええええええ・・・・・。

出たw

やった、良くやった、これで少しは楽になるぞ。

持ち込んだ水を飲み、手を突っ込んで吐き、胃洗浄・・・。

 

30分ほど悶絶すると、やっと少しずつ落ち着いてきたのだ。

断続的に痛みはやってきたが、何とか乗り越えられるようにはなった。

最後に飲むヨーグルトを飲むと、疲れ果てて眠ってしまったのだ。

 

 

その通り。

INがあったということは、OUTもある訳で。

今度は激しい腹痛で目が覚めた。

出さない限り、この痛みは終わらないのである。トイレへと向かう。

ここでまた違う種類の痛みを体験し、やっと楽になったのであった。

 

翌日も、午前中はまだ時々お腹は痛んだ。半日は影響があるということだ。恐るべし。

こんなもの売るんじゃねえ、と言いたくなったが、ちゃんと箱にはクドいほど注意書きがしてあったのだ。自己責任である。

 

 

家にはあと、ペヤングの獄辛が控えている。

買ったからには食べるが、もう無理はしない(笑)

少しずつ試して、あんまり辛かったら他のものと混ぜてゆっくり食べることにする。

皆様も、無理するとこんな目に合いますので、本当にご注意くださいませ。