人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

一橋学園で学ぶ

一橋学園まで歩く。あわよくば飲む。

ゴスペルの練習会場が一橋学園にあるのだが、美味しそうな街だったのである。一度歩いてみたかったのだ。

小さな商店街はホコテンに、通りはクリスマス用にライトアップされていた。

規模といい、新しさと古さの混在加減といい、理想的だ。

早速唐揚げのお店に入ると、シークワーサーのサワーを頼んだ。

「さっき唐揚げの定食、食べてたよね??」

「いーのいーのEE:AE5BE美味しいものは何度食べてもEE:AEACD

鶏モモの唐揚げとムネ肉の唐揚げと手羽先の唐揚げを食して、店を出る。

「このサクッと感がお散歩っぽくていいんだよねEE:AEACD次行こ、次EE:AE5BE

やがて目の前に現れた看板には、大きく「からあげ」と書かれていた。

「・・・また唐揚げ・・・。」

「さすがにもういい・・・。」

しかし、

「や、焼き鳥・・・。」

「また焼き鳥・・・。」

とことん鶏の日であった。もっと鶏後にいいものはないのか?

小さい商店街だが、縦横に続いていて見ごたえがある。気になるお店には、いちいち足を止めて散歩を楽しんでいた。

「あ、プロポリスあるよ。」ダンナが目ざとく見つける。

プロポリスとは、声楽家・ボーカリストの愛好者が多いのど飴であった。

売っているお店が結構限られていて、貴重といえば貴重な飴である。

その店先を見ると、健康食品のようなものがズラリと並べられていた。

私がプロポリスを見つけるより早く、そこに立っていた若い女性が「プロポリスありますよ!よかったらどうぞ!」と声をかけてきた。

安い飴ではないので一瞬引いたが、「どうぞ」は「おひとつどうぞ」の意味で、彼女はひとつ私に手渡してくれた。

「今、お茶も差し上げているんです。どうぞどうぞ。」と続けてチラシを一度私に手渡し、そこについていたクーポンを千切ってお茶の売り場にいざなった。

・・・買わされる??

警戒したが、数種類あるお茶のパックの説明をしたら「お好きなのをどうぞ。」とだけ言う。

私は、「二日酔いに」と書いてあった秋ウコン茶のティーバッグをひとつ、手に取った。

その間に「今、お茶持って行きますねー!」と別の女性が現れた。

彼女は小さな紙コップを手渡すと、「ちょっと待ってくださいね、今温かいの入れますから」と一度奥に引っ込んだ。

まずい。

これは非常にまずい予感がする。

何か買わされるのか?

いや、流されなければいいのだ。いらないものは断固、いらないと言う。まさか脅したりはしないだろう。気を強く持つのだ。

「これもいかがですか?とっても美味しいんですよ。」今度はお菓子。

「これは、味違いです!」

「温かいお茶入りました~~!」

結局二人がかりで、どれだけの試食と試飲をさせただろうか。もう大げさじゃなく、次から次へという感じである。

何かとてつもなく大きな流れに飲まれそうな気がしてきたので、こちらから流れを作ろうと試みる。

「じゃ、これ買っていこうか。お茶、美味しかったし。」

売り物の中には、バラ売りのお茶や葛湯があったのでそれを数個、ミックスナッツ、インスタントラーメン。

「ありがとうございます!!」と二人は店内に入り、一人は会計を、ひとりは・・・、

「今、抽選会やってるんです!ダイソンの掃除機なんかも当たりますよ!」

そしてペラッと応募用紙を出した。

住所氏名などを書く欄がある。目的はこれか。うーしかし、品物はまだレジから戻らず、やらないとも言いづらい。くそー、あんなに飲み食いするんじゃなかった。

仕方なく紙を受け取ったが、住所氏名を書く前にアンケートがあった。

健康に対する意識調査のようだ。

ううう、なんなんだ、最終目的は。

店内をグルッと見回してみると、壁に「フィットネス会員の声」という紙が貼り出されていた。

フィットネスか!最終目的は勧誘か。良し、答えが分かれば、対応もしやすい。

何か運動をしていますか? ジョギング ウォーキング スポーツ 筋トレ 登山 体操 ダンス・・・。

してないなどと書いたら、勧誘されるだろうか。あんまりバリバリやってる感じも良くないな。

こたえ:ウォーキング

これを見ると女性は、「あっ、ウォーキングやってるんですか??」「いつから?」「どれぐらいの頻度で?」などと根掘り葉掘り聞き始め、「私とほとんど同じ歳ですね!何か体のこととかで気になることはありますか?」と笑顔を向けた。

助けてくれEE:AE5B1なんか面倒なことになったぞEE:AE5B1

会計どうなってんの、会計!まるで人質だ。よこしてくれ、お茶と葛湯。

そこでダンナがずずっと前へ出て「お金を払います。」とレジに進んだのだ。まだ払ってなかったのかEE:AEB64

いいぞいいぞ、その調子だ、会計のスピードが勧誘のスピードを上回れば逃げ切れる。

「私達、健康を考えたスポーツクラブをやってまして・・・。」

ついに説明に入った。あっちもこっちもラストスパートだ。

「はぁ、あはは。」

「今、お試しができるんですよ。」

「いやぁ、あはは。」

早く、おつりを!!

「良かったら一度、いかがですか?」

「お金も時間もないんで、あはは。」

「あっ、お試しなので、無料ですよ!」

ここでダンナが、おつりと商品を受け取ったのだ。

いやいや、あはは、と言いながら後ずさり、店を出たら「どうもどうも、ご馳走様でした。」と言って、向きを変えた。

「年賀状を出しますので~~!」と言うのが、彼女たちの最後の言葉であった。

すっかり酔いが覚めてしまった。

まぁいい。

お茶も葛湯も美味しかったし、1個100円もしないものだ。

勧誘も振り切ったし、いい買い物をしたと思っておこう。

「勉強」にもなったしねEE:AEABF