一橋学園まで歩く。あわよくば飲む。
ゴスペルの練習会場が一橋学園にあるのだが、美味しそうな街だったのである。一度歩いてみたかったのだ。
小さな商店街はホコテンに、通りはクリスマス用にライトアップされていた。
規模といい、新しさと古さの混在加減といい、理想的だ。
早速唐揚げのお店に入ると、シークワーサーのサワーを頼んだ。
「さっき唐揚げの定食、食べてたよね??」
「いーのいーのEE:AE5BE美味しいものは何度食べてもEE:AEACD」
鶏モモの唐揚げとムネ肉の唐揚げと手羽先の唐揚げを食して、店を出る。
「このサクッと感がお散歩っぽくていいんだよねEE:AEACD次行こ、次EE:AE5BE」
やがて目の前に現れた看板には、大きく「からあげ」と書かれていた。
「・・・また唐揚げ・・・。」
「さすがにもういい・・・。」
しかし、
「や、焼き鳥・・・。」
「また焼き鳥・・・。」
とことん鶏の日であった。もっと鶏後にいいものはないのか?
小さい商店街だが、縦横に続いていて見ごたえがある。気になるお店には、いちいち足を止めて散歩を楽しんでいた。
「あ、プロポリスあるよ。」ダンナが目ざとく見つける。
プロポリスとは、声楽家・ボーカリストの愛好者が多いのど飴であった。
売っているお店が結構限られていて、貴重といえば貴重な飴である。
その店先を見ると、健康食品のようなものがズラリと並べられていた。
私がプロポリスを見つけるより早く、そこに立っていた若い女性が「プロポリスありますよ!よかったらどうぞ!」と声をかけてきた。
安い飴ではないので一瞬引いたが、「どうぞ」は「おひとつどうぞ」の意味で、彼女はひとつ私に手渡してくれた。
「今、お茶も差し上げているんです。どうぞどうぞ。」と続けてチラシを一度私に手渡し、そこについていたクーポンを千切ってお茶の売り場にいざなった。
・・・買わされる??
警戒したが、数種類あるお茶のパックの説明をしたら「お好きなのをどうぞ。」とだけ言う。
私は、「二日酔いに」と書いてあった秋ウコン茶のティーバッグをひとつ、手に取った。
その間に「今、お茶持って行きますねー!」と別の女性が現れた。
彼女は小さな紙コップを手渡すと、「ちょっと待ってくださいね、今温かいの入れますから」と一度奥に引っ込んだ。
まずい。
これは非常にまずい予感がする。
何か買わされるのか?
いや、流されなければいいのだ。いらないものは断固、いらないと言う。まさか脅したりはしないだろう。気を強く持つのだ。
「これもいかがですか?とっても美味しいんですよ。」今度はお菓子。
「これは、味違いです!」
「温かいお茶入りました~~!」
結局二人がかりで、どれだけの試食と試飲をさせただろうか。もう大げさじゃなく、次から次へという感じである。
何かとてつもなく大きな流れに飲まれそうな気がしてきたので、こちらから流れを作ろうと試みる。
「じゃ、これ買っていこうか。お茶、美味しかったし。」
売り物の中には、バラ売りのお茶や葛湯があったのでそれを数個、ミックスナッツ、インスタントラーメン。
「ありがとうございます!!」と二人は店内に入り、一人は会計を、ひとりは・・・、
「今、抽選会やってるんです!ダイソンの掃除機なんかも当たりますよ!」
そしてペラッと応募用紙を出した。
住所氏名などを書く欄がある。目的はこれか。うーしかし、品物はまだレジから戻らず、やらないとも言いづらい。くそー、あんなに飲み食いするんじゃなかった。
仕方なく紙を受け取ったが、住所氏名を書く前にアンケートがあった。
健康に対する意識調査のようだ。
ううう、なんなんだ、最終目的は。
店内をグルッと見回してみると、壁に「フィットネス会員の声」という紙が貼り出されていた。
フィットネスか!最終目的は勧誘か。良し、答えが分かれば、対応もしやすい。
何か運動をしていますか? ジョギング ウォーキング スポーツ 筋トレ 登山 体操 ダンス・・・。
してないなどと書いたら、勧誘されるだろうか。あんまりバリバリやってる感じも良くないな。
こたえ:ウォーキング
これを見ると女性は、「あっ、ウォーキングやってるんですか??」「いつから?」「どれぐらいの頻度で?」などと根掘り葉掘り聞き始め、「私とほとんど同じ歳ですね!何か体のこととかで気になることはありますか?」と笑顔を向けた。
助けてくれEE:AE5B1なんか面倒なことになったぞEE:AE5B1
会計どうなってんの、会計!まるで人質だ。よこしてくれ、お茶と葛湯。
そこでダンナがずずっと前へ出て「お金を払います。」とレジに進んだのだ。まだ払ってなかったのかEE:AEB64
いいぞいいぞ、その調子だ、会計のスピードが勧誘のスピードを上回れば逃げ切れる。
「私達、健康を考えたスポーツクラブをやってまして・・・。」
ついに説明に入った。あっちもこっちもラストスパートだ。
「はぁ、あはは。」
「今、お試しができるんですよ。」
「いやぁ、あはは。」
早く、おつりを!!
「良かったら一度、いかがですか?」
「お金も時間もないんで、あはは。」
「あっ、お試しなので、無料ですよ!」
ここでダンナが、おつりと商品を受け取ったのだ。
いやいや、あはは、と言いながら後ずさり、店を出たら「どうもどうも、ご馳走様でした。」と言って、向きを変えた。
「年賀状を出しますので~~!」と言うのが、彼女たちの最後の言葉であった。
すっかり酔いが覚めてしまった。
まぁいい。
お茶も葛湯も美味しかったし、1個100円もしないものだ。
勧誘も振り切ったし、いい買い物をしたと思っておこう。
「勉強」にもなったしねEE:AEABF