人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

有刺鉄線のプレゼント

「そろそろデザインを描いておいて。」

ギクッ。

アレを作ろうと思ったのは1月の終わりであった。

アレは普通、業者に頼んで作ってもらうものだが、作ろうと思えばできなくはないだろう。実は一度作った事がある。

完成度は下がってもその方が自由に作れるし、暖かみがあっていい。プレゼントなのだ。

製作には3ヶ月をみていた。十分である。

計画的に進められるよう、スケジュール帳の月初めに「どこまで作る」という目標も立てていた。

厳密に言うと、考えるのが私で作るのはダンナである。

デザインや素材などの完成図を私が描き、ダンナはそれに従って作るのだ。

つまり私が完成図を仕上げないと、ダンナは着手できず、完成はしないということだ。

案の定私が仕上げないので、ダンナは着手できずにいた。

3ヶ月はプレゼントを仕上げるには十分な期間だが、私のモチベーションを保つには長すぎるのである。

正直に言うともうすっかり気分は冷めており、早くダンナも忘れてくれないかと思っている。

こんなこともあろうかと、プレゼントをすることは他の誰にも言わないでいた。

誰も困らないのである。むしろ私が困っているのだ。

しかし言い出したのは私であり、作りたいと思ったのも私である。厄介なのは、きっかけがあれば簡単に再燃してしまうところであった。

飲んで話をしたり素材を見に行ったりすると、俄然やる気が戻ってくる。

私は語る。

膨らんだ構想を、溢れ出るデザインを、作り手さえいれば出来上がるという風に。

しかし所詮素人。

デザインなどと言っても子供が描いたようなもので、無責任この上ない。

そのくせここの素材はあれじゃなきゃダメだ、できるかどうか分からないが何とか作れと、まるでわがままな顧客だ。

今一番必要なのに手に入らなくて困っているのは、針の部分がめっちゃ長い有刺鉄線だ(笑)私のわがままぶりが分かるだろう。

こんな調子で作業は遅々として進まなかったが、再燃するたびに少し前進するので、何とか構想だけはまとまった。

なので先ほどそれを絵に描いたが、ダンナは驚きもせず淡々と質問をしてきただけだったので、もしかしたらこれは出来上がるかもしれないという気がしてきたのだ。有刺鉄線しだいでもあるが(笑)

それでもまだ、完成の可能性はハーフか。

なのでまだ内容についてはお話できません、ごめんなさい。

結果は1ヵ月後に。