人の心を揺さぶるものは、ハッピーエンドばかりではない。
監督: マーク・ハーマン
キャスト:エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン
第2次世界大戦時下のドイツ、ベルリン。
軍人の父のもとで裕福に暮らしていた少年ブルーノは、父の昇進に伴い、田舎に引っ越すことに。
友達と離れ、学校にも行けず家の中で孤独に暮らすことは、冒険好きのブルーノにとって退屈な毎日だった。
そんなブルーノの気を引いたのは、遠くに見える農園。その中ではパジャマを着た奇妙な人々が生活している。
お父さんもお母さんも、彼らについては教えてくれない。
ある日ブルーノは、絶対に行ってはいけないというその農園に、こっそり向かうことに。
「こども時代とは、分別という暗い世界を知る前に、音と匂いと自分の目で事物を確かめる時代である。」
冒頭の言葉だ。
8歳の少年ブルーノには、差別や偏見がない。
有刺鉄線越しに芽生えた友情は、大人が持ち得ないピュアなもの。しかしその運命は、大人たちが作り出した大きな悲劇に飲まれていく。
軍人であるブルーノの父親は、ヒトラーに忠実であり、職務を果たすことに誇りを感じている。
それが例え、あってはいけない職務だったとしても。
歪んだ「分別」は静かに暴走し、当然のようにそこにあった。
隣の廊下で人が殴られていても、平気で食事ができてしまう。殴られているのは、ブルーノのケガの手当てをしてくれた老人だ。
ユダヤ人だというだけで。
後味の悪いこの作品の中で、ブルーノ達の友情だけが尊く響く。
切なく美しい話だが、ひとつだけ残念だったのは、役者がイギリス人だったこと。
英語を喋っていたので、最初のうちは彼らの立ち位置が混乱した。
やはりドイツ人にはドイツ語を喋って欲しい。
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
ダンナのオススメ度 ★★★★☆