何も変わってはいない。
結局昨日も飲んでしまったし、ムヒも肩たたき券もしょうもないメモも、昨日と変わらぬ場所にある。
変わった事といえば、出しっぱなしのコーヒーカップがひとつ増えた事ぐらいである。
理不尽だ。
私は6時半に起き、ダンナに朝ご飯の用意をし、ついに噴火した。
アイロンがけを2時間もやったのだ。2時間。
私は以前クリーニング工場に勤めていたことがあるが、同じ仕事である。
よくまぁ2時間分もアイロンをかけるべき服があるなと思われるかもしれないが、バザーに出す事に決めた兄のチンピラ服がたくさんあったのだ。
チンピラ服のチンピラっぷりは、柄だけではなかった。
化繊のものが多く、クシャクシャに縮みあがっているくせに、テロンテロンというタチの悪さ。
言わせてもらえば、私の勤めていた工場では、このように手仕上げする部門はいわゆる職人技の「スペシャル」であった。
今となっては世界で私ひとりしかその存在を知らないだろう、兄の古いチンピラ服に、スペシャル。
そして、部屋は昨日と何も変わらないのである。
寝ていたと思われたらしゃくだが、「狼が来たぞ!」の昔話同様、たまに働いても形にならなければ信じてもらえないものなのだ。
狼が来たぞ(泣)
ええっ?
2時間アイロンかけても時間が残るでしょ?と言われましたら、その通り。
私は残った時間で、今日と明日の晩御飯のレシピを考えていたのである。
談合坂のSAで大量に野菜を買い、翌日には実家の母からまた野菜をもらってしまった。冷蔵庫に残っている分もある。
その内訳は、かぼちゃ丸ごと1つ、しそ・袋に枝ごとボーボー、なす大10個、モロッコいんげん約15本、とうもろこし3本、みょうが5個、キュウリ大2本、トマト中4個、特大オクラ3本、普通のオクラ10本、ゴーヤ2本、特大パプリカ1個、黄色いミニトマト10個、そして圧巻は超特大ズッキーニ、長さは35センチ、直径は8センチほどである。
これは談合坂の分。
これを、休日に入る前の今日と明日の二日で、できるだけ消費したいのである。肉女が。
ネット検索とレシピ本を駆使して1時間考えたが、やはり全部消費するのは無理である。
そして、書き出したレシピを全部作るのも、恐らく不可能だ。
仕方ない、残りは休日に頑張って調理するしかない。
するかね?
という訳で、部屋は片付いていない。
あれ?
それでも3時間しか経ってないですよ。
そうですね。足し算、上手いですね。
その通り、まだ時間は残っていますよ。
そこは、ゲーム上の装備品と猫の便秘について考えて使い切ったのである。
充実した一日であった。
しかし、部屋は何も変わっていない。