ずっとまっすぐだったはずだ。
私はずっとまっすぐにやってきた。
自慢ではないが、まっすぐである事に誇りを感じてすらいたのだ。
昔は意識しなくてもまっすぐでいられた。
若さもあっただろう、意識しなくてもまっすぐになるようにできていたのかもしれない。
いつの頃からか、私は目標を見失ってしまった。
歪み、はみ出し、やがてそんな状態でいることに恥じる事もなくなっていった。
ふと気付いて修正しようとしても、もうあの頃のようにはなれないのだ。
まっすぐ、そんな感覚は忘れ去ってしまった。
それがある日、フッとその感覚が甦ったのだ。
神がレールでも敷いたようにスッと私はすんなりとそこに収まっていた。
そこで私は見失っていたものを思い出したのである。
隣との境界線。
私が自宅の駐車場に車を停めると、どう頑張っても斜めになってしまう。
引っ越してきた頃は何も考えなくてもまっすぐ停められていたのに、本当に不思議でしょうがなかった。
何かを目印にしていたような気もしたのだが、それすら忘れるほど自然に、以前はちゃんと停めていたのだ。
あんまり曲がっているとさすがに恥ずかしいので、何度も下りて見て、何度も修正した。
それでもまっすぐにまではなかなかならなかったのだが、それが何の偶然か、ある日スッとまっすぐに入ったのである。
その時に私は目印を思い出したのだ。
そうだった、サイドミラーで隣との境界線を見てそれと平行に停めていたのだった。
つーか目印もなんも、普通そうやって停めるだろうが。
私は他の駐車場ではそうやって停めていたのである。
まぁ思い出せたことに感謝、とEE:AEB80