人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

長い旅路の途中で

 

 

 

長く、遠い道のりだった。

まだ行ったこともないその場所へ、私は行こうと決意した。

困難は予想できたが、私はその先にあるものが見てみたかったのである。

 

一人で行くことはできない。仲間が集まるのを待つ。

みんなどのような気持ちで集まって来たのか。

自ら志願した者。

依頼されて来た者。

皆、不安に表情を曇らせていた。

 

私はまず、地図を描いた。

恐ろしく、大きな地図になった。

しかし注意深く見ていれば、目印が見えて来る。

これを見失わないよう、私は何度も何度も頭に地図を描き、それを叩き込んだ。

 

出発の前に、一人が脱落した。

理由は分からない。

おじけづいたのか、準備の段階で体を壊したのか。

深追いするよりも、代わりを探さなくてはならない。

出発の二日前。

 

前日になり、私は地図を持って「彼」の家を訪れた。

何度も一緒に旅をしてきた同志だ。

覚悟は決まっていたようで、苦笑いして地図を受け取っていった。

大丈夫。

遠いが、道筋は立っている。登って、下りる、結局その繰り返しだ。

道を外れないよう、注意深く歩けばいい。

道筋は、立っている。

それをなぞればいいだけじゃないか。

 

 

 

 

 

長い8分であった。

 

 

 

 

 

 

遭難した。

 

 

レッド・ツェッペリンの「カシミール」は、映画「ゴジラ」の中でもカバーされた壮大な楽曲である。

8分半に及ぶ曲の中では、いくつかの短いフレーズが不規則に繰り返される。

ただの長い曲ではなく、この「不規則な繰り返し」がクセモノで、メンバー全員がこのパターンを一致させるために全てを覚える必要があった。

一人でも間違えれば、曲は台無しになる。

そして、ひとたび遭難すると、戻ることが非常に難しい曲であった。なにしろ繰り返しばかりなのである。

 

遭難したのは、私であった。

現在地を見失ったので、周りの音を聴いてからそれに合わせるしかなかった。

奇跡的に途中で「どこをどう間違えたのか」に思い当たったので、何とか修正はできた。

練習でも何度か間違えた箇所である。馬鹿野郎。

 

 

こんな嫌らしい曲を、寸前で引き受けると言ってくれたギタリスト氏、べーしすと氏、お二方に感謝する。

でももう1回チャンスちょうだい!悔しくて仕方ないわ・・・。