長く、遠い道のりだった。
まだ行ったこともないその場所へ、私は行こうと決意した。
困難は予想できたが、私はその先にあるものが見てみたかったのである。
一人で行くことはできない。仲間が集まるのを待つ。
みんなどのような気持ちで集まって来たのか。
自ら志願した者。
依頼されて来た者。
皆、不安に表情を曇らせていた。
私はまず、地図を描いた。
恐ろしく、大きな地図になった。
しかし注意深く見ていれば、目印が見えて来る。
これを見失わないよう、私は何度も何度も頭に地図を描き、それを叩き込んだ。
出発の前に、一人が脱落した。
理由は分からない。
おじけづいたのか、準備の段階で体を壊したのか。
深追いするよりも、代わりを探さなくてはならない。
出発の二日前。
前日になり、私は地図を持って「彼」の家を訪れた。
何度も一緒に旅をしてきた同志だ。
覚悟は決まっていたようで、苦笑いして地図を受け取っていった。
大丈夫。
遠いが、道筋は立っている。登って、下りる、結局その繰り返しだ。
道を外れないよう、注意深く歩けばいい。
道筋は、立っている。
それをなぞればいいだけじゃないか。
長い8分であった。
遭難した。
レッド・ツェッペリンの「カシミール」は、映画「ゴジラ」の中でもカバーされた壮大な楽曲である。
8分半に及ぶ曲の中では、いくつかの短いフレーズが不規則に繰り返される。
ただの長い曲ではなく、この「不規則な繰り返し」がクセモノで、メンバー全員がこのパターンを一致させるために全てを覚える必要があった。
一人でも間違えれば、曲は台無しになる。
そして、ひとたび遭難すると、戻ることが非常に難しい曲であった。なにしろ繰り返しばかりなのである。
遭難したのは、私であった。
現在地を見失ったので、周りの音を聴いてからそれに合わせるしかなかった。
奇跡的に途中で「どこをどう間違えたのか」に思い当たったので、何とか修正はできた。
練習でも何度か間違えた箇所である。馬鹿野郎。
こんな嫌らしい曲を、寸前で引き受けると言ってくれたギタリスト氏、べーしすと氏、お二方に感謝する。
でももう1回チャンスちょうだい!悔しくて仕方ないわ・・・。