人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

スタイリッシュな安いヤツ

衝動買い、というと失敗のイメージがあるが、実際にはフィフティ・フィフティのギャンブルではないかと思う。

その時を逃がしたために売れてしまって涙を飲む事だってあるのだ。

しかしやはり勢いで買うと失敗が多いので、フィフティ・フィフティなのだろうと思う。

日曜日の事だが、実家の母に頼まれてダイニングテーブルのセットを買いに連れて行ったのだ。

ちゃんとしたやつじゃなくていいから安いの、というのでリサイクルショップから見て回る事にしたが、もう新品買うのがバカらしくなるほどいい物がいい値段で揃っていた。

母は2万4千円のテーブルセットに即決した。

新品同様、質も良さそうである。良くわからんが。イメーーーージ。

私達には別に必要な物などなかったのだが、ブラブラ見ている間にちょっと心惹かれたものがある。

やはりテーブルセットだ。

テーブルもイスも黒、足はどちらもパイプでできており、洒落ている。

目だった汚れや傷もなく、12800円だ。

「これ、いいね~。」ダンナも食いついた。

「安いよー。」心が揺れる。

「これね、いいでしょう、スタイリッシュでデザイナーズブランドっぽいのよ。こんなの、普通に買ったらもの凄く高いのよー。」

店員のタメ口、気になるが、そのセリフも気になる。

「今日なんかもお客さんたくさんきて、どんどん売れてるからね。早く買っちゃったほうがいいわよ。じゃあ両方買うなら安くするわ。」

店員は私たちの返事も聞かずに奥に消え、2万円ほど安くなった合計を得意げに持って戻ってきた。

「じゃあ配送は・・・。」

おいおい、まだ返事してないって。

「ちょっと待ってください(汗)」やっと遮ると「何で買わんの」というような顔でこちらを見て「これはいい買い物よ。」だの「いいタイミングよ、これは出会いよね。」だのブツブツ言いながら手を止めた。

こういうしつこくて押し付けがましい店員は苦手だ。私には逆効果である。

しかしこんなやりとりの間にも、何組かの客がその素敵なテーブルセットに足を止めている。

ここで迷ったら次はないかも。

しかし家にはもうテーブルセットならあるのだ。

「どうする??」

「うーーん、欲しいけど・・・、いいのかな、こんな勢いで・・・。」

ダンナも似たような心境のようだ。

まぁたかが1万2千円、失敗しても泣きはしない額だが、問題は恐らく処分する事になる方のテーブルセットの方である。

あれは長く使うつもりで、そこそこちゃんとしたものをちゃんとした値段で買ったのだ。

品質で言えば、プレハブと中古一戸建てぐらいの差はあろう。微妙な比較だが現実だEE:AE4E6

しかし。

「あEE:AE476

そういえばイスの背もたれのクッション部分が猫の爪研ぎ化していてボロボロになっていた。

どれぐらいボロボロかって、背もたれじゃなくて爪研ぎだってぐらいボロボロである。

「あのイス恥ずかしいじゃん。」

決定だ。

取りあえずお金だけ払ってきたが、来週までに家にあるテーブルセットを処分しなくてはならない。

買う段階ではあまり考えなかったが、処分するには惜しいセットだ。

しかしイスがこんなボロでは、リサイクルで引き取ってはもらえないだろう。

そんな事を家で話していたら、「そうだ、これ、取れるじゃん!」とダンナが言い出した。

そういえば背もたれのクッションは取り外しができるのだった。

「これならリサイクルできるかも!!」

私は今週中にこのテーブルセットをピカピカに磨き上げる事にした。

しっかりしたテーブルセットだ。

長く使うつもりで買ったのである。

今度来るやつは明らかにデザイン重視のチャラチャラしたやつで、大きさもふた周りほど小さくなってしまう。

何か、別にこの背もたれクッション外して使えば良かっただけなんじゃ・・・。

そんな事に気付いてしまったが後の祭り。

あの華奢なパイプの足は、何年私たちの体重を支えられるだろうか。

私の不安を払拭できるのは、こうなると「お洒落」の部分しかない。

一目惚れして衝動買いしたぐらいだ、「買って良かった」と思うほど部屋に馴染んでくれる事を祈るばかりである。