危ないところであった。
深夜1時5分。
私はまだゲームのコントローラーを握っていた。
早寝の決意を忘れたわけではないが、ついズルズルと「ここまで来たらもう1クエやらないと」という戻れないところまで来てしまったのだ。
1時5分か。
しゃーない、ここまで着ちゃったから、10分か15分でカタをつけて寝よう、そうすれば1時半には寝れる。
この頃の就寝時刻は、平均して3時前後であった。
それに比べれば全然早いのだ。
迷ってる時間がもったいない、私はクエストに出た。
つっよ~い敵であった。
10分や15分でカタがつく相手ではない。
そのデカいゴリラに踏んづけられて即死、しかしまだチャンスは2回残っている。
オルァ、ゴリラ!!牙獲りに来たど!!
・・・って全然勝てる気がしない。
どうせ3死で失敗だ。それでも戦うのかぽ子よ。
ここでリタイヤすれば、その分早く寝れるのだぞ。
良くないことをしている自覚がある時に、時々このように神の声がすることがある。
もうこの辺で飲むのは止めたほうがいいよ。
頑張って起きちゃったほうがいいよ。
ぬぉぉ~、神様ごめんなさい、ぽ子早寝するのでしたッ。
グッといつもより強くリタイヤのボタンを押すと、キャラクターは町に帰ってきた。
次は「ゲームを止める」を押すのだ。
強かったなぁ、上位ドドブラ。
でも猫メシ食べていくの、忘れちゃったんだよね。
罠ももっと持っていかないと。
閃光玉、効かないかな??
しかし反省会が心の中で始まってしまった。
反省点が見つかるという事は改善点が明らかになったということで、改善点が明らかになったということは、さっきよりいい結果に近づいたという事である。
私は猫メシを食べに向かいかけたが、あぁ、ここでまた神の声。
今日はしつこいざんすね。
しかしもう1戦やったら1時半は軽く回り、布団に行くのが2時。
そのあと本読んだら3時で、いつもと変わらないじゃないか。
観念して寝室に向かった。
眠い・・・・・・・・・・。
くそ、早く布団に入ったからって、眠れない時間が増えるだけじゃないか。
朝になりダンナが出かけていくと、もう眠くてたまらない。
しかしここで寝たら、せっかくの昨日の神の声が台無しである。
7時半。
おっし、景気づけに久々にテレビゲームの方でもやってみるか。
テレビの前のソファに座る。
「うにゃ」とラが短く鳴いて膝に乗って丸くなった。
ガガガッとエルが私の脇の下を掘り、そこにスッポリはまるように丸くなった。
猫の布団の出来上がりである。
布団はゲームをすることができない。
ポワワン、ポワワン、と眠気のオーラが猫から発せられる。2匹分。
遠くミのほうからも流れてくる。
10時半であった。
その間に娘ぶー子が現れて消え、ラが膝から下り、また上って眠った。
私はもうソファに横になって寝ていたから確信犯だが、あぁ、また神を、自分を裏切ってしまった。
アイロンがけと空き瓶、空き缶の整理、花の水遣り、ゴミバケツ洗い。
ダンナのシャツはもうアイロンのかかったものは今日でなくなり、瓶缶の回収は明日、花は死にかけており、ゴミバケツには生ゴミの汁がたまっていた。
ギリギリである。
常にギリギリ。
明日は歯医者なので、その分仕事が朝からの出勤になる。
こうなるとやっと二度寝ができなくなるのだが、うー、辛そうだなぁ。
その上歯医者では痛い目に・・・。
金曜なのが救いである。
ご褒美に飲む。
心待ちにしていた金曜日だ。