日付が変わる前に帰るつもり、と書いたが、危ないところであった。
突然娘ぶー子も「一緒に行く」と言い出し、その彼女が「ついでに帰りにカラオケに・・・。」としつこくねだり出したからだ。
「よっしゃ、いけいけー!!」と私も心の中で応援したが、そんなそぶりは見せるわけにはいかない。
先週、行ったばかりなのである。
しかし好きなことなら何度やったっていい。
すぐ繰り返したっていい。
ダンナも呆気なく流されるほうなので、表面的には黙ってしらばっくれていたが、これが今日は流されなかったのだ。
ガックシ。
こうなったらオールナイトカラオケに相当する量を、今から飲んでやるぞ。
「ガンダム見たい。」
お台場に等身大ガンダムが出現したと聞いてから、ダンナは時々呟いていた。
一度お台場まで別件で行き、ゆりかもめから遠目に見たのでそれで満足したのかと思っていたら、まだ終わっていなかったのだ。
ガンダム、見たい。
ネトゲライフに突入したために、あっという間に私の中のガンダムの地位は下がった。
下がり果てた。
そもそも何のガンダム的下地もなかったのだ。
「ガンダム無双」というゲームによってそのポイントが一時的に上がっただけで、離れてしまえば夏目漱石ほどに遠い存在となった。
かと言って、モビルスーツを操って戦いに出た熱い日々を忘れた訳ではない。
ガンダムがお台場に出現。期間限定。
私なりに小さく楽しみにしながら、お台場に向かったのであった。
凄い人出である。
単純に考えれば「ただガンダムがお台場に置かれた」だけである。
それだけでこの騒ぎ。
きっと等身大ジョン・レノンを置いても、こんなに人は集まらないだろう。
ガンダムって凄い。
小学校で少しは教えておかないと、ガンダムを知らない子供を作ってはいけないぞ、日本。
ところで今回は娘ぶー子も一緒である。
ダンナは「昼のガンダムと夜のガンダムを見たい」と言っていたが、それだけで帰る訳にはいかなくなった。
まぁそもそも私がそれだけで帰る気はなかったが、多少はぶー子の意向を取り入れなくてはならないのだ。
ショッピングである。
女のショッピングは長い。
私も触発されてフィーバーしたので、ダンナはどえらい長く待たされる事になった。
だんだん無口になっていくダンナ。
そんな彼の楽しみは、ガンダムを取ったら食う飲むぐらいである。
DECKSのバルコニーの夜景は最高である。
ここへ缶ビールを買って向かい、ベンチに腰を下ろす。
ぶー子はタピオカドリンクを飲み、目の前の夜景を写メに収めていた。
何年も前からそうだった。
夜になるとDECKSのバルコニー。
ぶー子は大学に入ってから忙しくなり、ほとんど一緒に過ごす時間がなくなってしまった。
それでもまたこうして変わらぬ時間を過ごすことができたことは、何事にも変えがたい喜びである。
私が一番大切にしたいもの、それは家族である。
夜のガンダムは、何かのイベントがあるようで、チケットなしでは入れなくなっていた。
同じように入れない人たちが入り口から写真を撮っていたが、仕方なく私たちも遠くからうだつの上がらない写真を撮って帰ってきた。
カラオケはなかったが、まだまだ夜は長い。
あと4分で12時。
それではのんEE:AEB61