「昨日はゴメンナサイ・・・。」
私を起こしに来たダンナは、まずそう言った。
昨日?
昨日、昨日・・・。
あぁ、もしかして。
「いや、いいよ、面白かった(笑)」
実際、滅多にない事で私はその状態を楽しんだと言ってもいい。
昨日はカラオケに行って昼間っから散々飲んだが、昨日はダンナが酔いつぶれたのだ。
私はいい加減迷惑を掛けないようにしたかったのでビール一筋で飲んでいたのだが、ワインを飲み続けたダンナがやられてしまったのだ。
私は酔っ払いには優しいっすよ。
なぜなら私がいつも酔っ払いで、優しくされたかった経験が積み重なっているからだ。
私は「自分だったらこうして欲しいだろう」というその全てを出し切った。
転職を迷っているぽ子だが、こうなるとますます介護の方に傾いていくのであった。
昼にラーメンを食べて帰ると、やはり眠くなるぽ子である。
娘ぶー子はゲームをやっていたが、リビングダイニングとキッチンがきれいに片付いていた。
「やる事、やったから。」
ぶー子は目線をゲーム画面から動かしもせず、「だから文句を言うな」というオーラをだしながら一心不乱にコントローラーを操作していた。
まぁいいや、私も眠いし。
そのままソファで座ったまま寝てしまったが、ダンナがぶー子のゲームの相手を買って出てくれた。
「三国無双」である。
目下我が家では静かな無双ブームとなっているが、主にぶー子が「三国無双」、私が「ガンダム無双」、人のいいダンナは呼び出されるがままに2人用プレイで私達に引っ張り出されている。
どっちのゲームも同じようなもののキャラクターが違うだけというもので、やろうと思えば私だって三国無双はできる。
実際何度かやったが本命はガンダムなのだ。
なぜかと言われても理由はないが、ガンダムを始めたからには浮気をしたくなかったのだ。
微妙な操作の違いやなんかが、40歳には辛いのだ。
セカンドに慣れてしまうのが怖い。
どれ程寝ていただろうか。
気がついたらまだ二人はゲームをやっていた。
ぶー子は「もう一度」「次は?」と容赦ないが、私にはダンナが疲れているのがわかる。
「んじゃ、次は私がやるよ。」
そう言ってダンナからコントローラーを受け取り、3人で正面のモニターに向かった。
「これだよ、これ(泣)私の理想の家族像はこれだよ!!家族で揃って三国無双(泣)」
ぶー子が泣き笑いだ。
アンタの理想って・・・。
しかし、「違う!!」「右だっつの、右!!」「みぎ!!」「みぎ(怒)」
おっかね~っす、若者ゲーマー。
40歳は18歳のようには動けないし覚えられない。
増してや飲んでいるのだ。
もっと愛情を持って丁寧に接して欲しいものだ。
こうして介護職がますます近づいて来るのである。