買い物だ。
もうすぐ娘ぶー子の入学式である。着る物がない。私もぶー子も。
で、行き先は「ファッションセンターしまむら」である。泣ける。
しかしだ。
大学生の入学式って、一体何を着るのだ?
まぁ私なんてぶっちゃけ何だっていい、これから一緒に大学生活を送る訳ではないのだから、スーツ代が浮くなら変な格好で恥をかく方を取る。
しかしぶー子は何を着たらいいのか?
私は大学生になった事もないし、女子大生になった事のある友人もゼロに近い。
情報が全くないのだ。
ぶー子の情報によると、女子はリクルートスーツで来ると言ってるらしいが、どうも入学式にリクルートスーツというのがピンと来ない。
その情報は確かなのだろうか?
しかしそれを確かめる術がないので、しまむらのスーツ売り場に向かう。
スーツと言ってもしまむらである。5、6千円の安も・・、お値打ち品が並ぶ。
地味めなスーツを手に取るが、これがいわゆるリクルートスーツなのかオバハンの冠婚葬祭服かもわからない。
不安である。
日本人と言うのは他人と違う事を嫌う民族である。
私は体育館で一人だけオバハンの冠婚葬祭服を着て小さくなっているぶー子を思い浮かべた。
危険だ。
ここで私達の判断で買うのは危険である。
で、次に向かったのは洋服の青山である。
紛れもなくスーツ屋なのだ、間違いはない。
しかし購入予定額がハネ上がることは免れないだろう。
しまむらではスーツを買わなかったのだから手ブラで店を出るはずだが、なぜかダンナは大きな買い物袋を手に店を後にした。
買い物とは金のかかる娯楽である。
「就活ですか?」と笑顔で女性の店員が近づいてきた。
その時ぶー子はすでに試着室に入っていたのでそこを指差して「いいえ、入学式です。」と答えたのだが、後で聞くとこの店員、私が就活用のスーツを買いに来たのかと思ったらしい。
確かに服はぶー子と兼用、帽子をかぶって顔は半分マスクなのだ。これなら40歳も20歳以上若返る事がわかった。
もしかしたらおとといのオヤジも、私を入学式を控えたぐらいの年齢の女子と間違えていたのかもしれない。
男性は、マスク女性はプラス20歳ぐらいの年齢だと思ったほうが良し。
予定よりも高額のスーツを買い、今度は新しい携帯が欲しいと言うのでauショップに行ったが、その携帯は4万近いもので当然却下。
しかし私も新しく4万近い携帯が欲しくなるというオマケがついて、店を後にする。
家に着いたらゲタバコをガンガン開けて「どれ?」と聞くぶー子。
これ以上貢がされたらたまらん、と靴は私のを使うように言ったのだ。
まぁ予想はしていたが、
「・・・・・これ?(怒)」
と裏返った声で言った。
何を、私はその「これ?(怒)」で数々のフォーマルな場面を歩んできたのだ。
洒落てもいないがおかしくもないはずだ。
しかし「あの靴は嫌だ」とゴネるぶー子。
うん、実は私もあの靴はおかしいと思う。
で結局、帰ってきたのにまた靴屋に向けて出発だ。
そこでもお気に召したものはなくもう一軒と言われたが、親は財布も体もクタクタである。
姫には今日のところはご勘弁いただくことにした。
ところでこの靴屋で、まさにぶー子に拒絶されたあの「これ?(怒)」と同じ靴の色違いが売っていたが、店の外の490円の見切り品となり埃まみれになっていた。
家に帰ったら早速飲むが、昼に急いで作った賞味期限の切れた鮭のオーブン焼きが信じられないほどしょっぱくてショックだ。
安かったので半身まるまる買って半身まるまる調理したのだ。
今夜のメインディッシュである。
しょっぱ過ぎていいのは筋子だけである。
まぁ酒が進むであろう。
昨日はあまり飲めなかったので見てろ~い、である。