ダンナにはそうは言わなかったが、私は心の中で昨日を「お疲れ休み」として二度寝を楽しみ、残り物の晩ご飯とラーメンを食べ、酒を飲みながらゲームをやった。
朝になったら洗い物も洗濯物も溜まっていたが、それらをスルーする喜びもまたひとしおであった。
いや~~、今日からまた頑張ろうと思ってたんだけど、そんなんでポジション的には月曜だったから大目に見て欲しい。
WBCの決勝戦であった。
私はスポーツ観戦というものに全く興味はないし、中でも野球というのはオヤジ臭いので嫌悪している。
しかし例外はある。
レジャーとして観戦する場合と、このWBCとサッカーのワールドカップだ。
フィギュアスケートも興味あるが、あれは芸術とカウントする。
つまり、日本のチームが一丸となって世界を相手に戦うとき、ぽ子もやっと腰を上げるのだ。
しかしWBCはいつもいつの間に終っていて見逃しているので、今度こそは全ての試合を見れる限り見るつもりであった。
ところがもう決勝である。
まぁ最後の試合だけ見れるなら、最後の試合だけ見れないよりもよっぽどいい。
仕事に出るのが12時45分で恐らく最後までは見られないだろうが、全く見れないよりもよっぽどいい。
しかし私は皆の期待に応えて本日も二度寝をした。
ジョン・レノンは世界が一つになる事を想像してごらん、と歌ったが、
二度寝のあとに慌てて起きた後のことを想像してごらん。
少なくともスポーツ観戦はそこにはない。
私はWBCの事などすっかり忘れて掃除をしていた。
マンデーポジションでも掃除機をかけている自分が誇らしかったが、娘ぶー子が起きてきてテレビをつけて初めて思い出したのだ。
もう4回の表だった。
もう4回と聞いてかなり萎えた。
私は掃除を続行し、ぶー子に適当に中継させた。
「青木~~、青木~~!!イケメン青木~~~!!」
私はその青木を知らないが、というかイチローぐらいしか分からないのだが、とにかくイケメンだという。
ぶー子曰くメット込みのイケメンで、それがなければイチローの方がイケメンらしいがイチローはメットがあってもなくても変わらないけどメットをかぶった青木よりは劣るらしい。
で、私の感想はメットがあろうがなかろうがイチローの方がカッコイイという所である。
青木が塁に出ると日本のチャンスがさらに大きく膨らんだが、次は誰だ?
「ぶー子、次、誰?」掃除の手を止めぬまま聞く。聞いてもわかるのはイチローだけだが。
「次、次・・・、イケメンではない。」
いまだにそれが誰だかは分からないが、ゲームだろうが映画だろうが野球だろうが、ぶー子にとって登場人物は全て「イケメンorノット」である。
やはり試合の途中で出勤時間となってしまった。
ぶー子は試合結果をメールする、と言ったが、見れるのは3時休憩になってしまう。
私は意中のカレからのメールを開くように、ぶー子からのメールを開いた。
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WBC韓国vs日本
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結果
延長戦に突入
それだけであった。
周りの奥様方から「あ~~、追いつかれちゃったんだ!!」と悔しそうな声が漏れたが、そのメールの着信時間は2時半だ。
続きはどうした、続きは。
結局会社のパソコンで結果を知ったが、私は帰ってから早速ぶー子に文句を言った。
「あれ??送ったよ!!」ぶー子は言い張る。
カチャカチャと自分の携帯をいじって自分の送信ボックスから見せたそのメールは、私が見たものと同じものであった。
「だから結果がない。」というと、
「あ・る!!こ・こ!!」といって下にズンズンおくった。
日本の勝ち!!!!!!
それは5行もスペースを開けた下にあった。
この空白はなんなんだ?!
詐欺まがいの悪意すら感じるスペースである。
まぁ結果は日本の勝利である。
この素晴らしい瞬間をビールと一緒に見守る事ができなかったことが残念だ。
青木もイチローもイケメンじゃない人も頑張った。
勝利とは気持ちのいいものだ。
スポーツ観戦も悪くないかもね。
ビールがあればなおのことである。