やっちまった・・・・・。
一体一年に何度、やっちまうんだろう。
二日酔いである。
激しい渇きで目が覚める。
うう、朝ご飯、朝ご飯を作らないと・・・。
這うようにリビングに下りて行くと、ダンナはこちらに背中を向けて、ひっそりとご飯を食べていた。
おかずは昨日買ってあったしらす干し、それだけである。
しかしもうやる事がないと知ると、私はベッドに戻る。
次は娘ぶー子の巻だが、結局これも同じ事になった。
気がついてリビングに行くと、ひっそりとしらす干しでご飯を食べていた。
どうしてこんな事に・・・。
昨日の事を振り返る。
そうだ、おとといあんまり飲めなくて、その反動か。
あ、あ、あ、そうだ!!
耳たぶを指先でつまんでみると、小さな金属が刺さっていた。
ピアスである。
酔っ払って開けたのだった。
そもそもはぶー子であった。
ニードルという、専用の針を借りてきたのだ。
危険だからちゃんと消毒しろと言うと、彼女は小鍋で湯を沸かし、律儀に煮込んでいた。
私は酔っていたのだ。
なので、度胸試しのような事をしたくなったのだ。
どれ、貸してみなって。
こんなもの、氷などいらぬわ。
採血の注射針より、一回り太いものである。
中は空洞になっていて、細い筒状になっている。
片側が斜めに切られ、尖っている。
その尖った先を耳たぶに当てる。
ちょっと怖い。
目を閉じて力を込めるとそれは、何の抵抗もなくスッと耳たぶに刺さっていった。
柔らかい布に刺繍をしている感覚と、ほとんど変わりはない。
まずい、これは・・・。
合法自傷みたいなもんじゃないか。
これはクセになる。
おしゃれという仮面を被った、自傷行為である。
この危険な誘惑に、ぽ子は抗えるのだろうか。
ぶー子にも止めさせなくては。
しかし一晩経ってみると、罪の意識はなくなっていた。
耳には年齢にそぐわない、メタリックな赤い星のピアスがはまっていた。
もともと開いていた場所の、少し上である。
これは単体では私には若すぎるが、もうひとつふたつ大きなピアスをつければ、いいアクセントになりそうだ。
ニードル・・・ね。
しかし酔わなくてはできそうもないが。