人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

関係代名詞

「もうこのまま食いながら寝そうだ・・・。」

夜の10時までダンスの練習に出ていた娘ぶー子は、晩ご飯を食べながらつぶやいた。

相当眠いようで、時々ボーッと遠くを見て固まっている。なので食べ終わるまで結構時間がかかったが、何度「寝そうだ」と繰り返したことか。

昨日は中間テスト1日前であった。

毎度の事だが「勉強しろ」と言われるのを恐れてか、彼女は寸前までテストの日を言わない。

私も私で、ここに時々コメントをくれるtuguさんのサイトを見た時に、1コ下のお嬢様のテストの話題が出て毎度思い出しているような状態だ。

職場でも中学校だがテストの話題は何度も出ているのに、ピンと来ないんだよなぁ。

とは言ってもtuguさんとことは学校が違うから、日にちだって違うかもしれない。

そこで「テストいつよ?」と聞くのだが、それが例え1週間前でも3日前でも「・・・頃だったと思う。」と彼女は付け加える。

文化祭の時だって体育祭の時だって何だっていつもこの調子だ。

時間ともなると前日の夜遅くにわかればいい方だ。

私がぶー子のテストが近づいていることに気付かない理由はまだある。

全然勉強している気配がないのだ。

そればかりか、ぶー子はテスト期間に入ると非常に良く眠る。

まず家に帰ってご飯を食べると「ちょっと寝るわ。」と言って部屋にこもる。

夜勉強するからと言うのがぶー子の言い分だが、確かに夜になると机には向かう。

しかし向かうまでが長い。

風呂が長い、食事が長い、いちいち次の行動に移るまでが長い。

やっと机に向かったかと思うと、見に行くと床で寝ていたり、「休憩」と言って絵を描いていたりする。

毎度テストが終わると反省しているのだが、生かされた試しがない。

生かされない反省などただの感想である。ぶー子のお陰で名言が浮かんでしまった。

そんな感じでテストが近いことはtuguさんのサイトで知ったのだが、次に気付いたのはテスト前日の昨日である。ぶったまげた。

しかし10時までダンスのレッスンがあり、家に帰ってきたら「食いながら寝そう」と言っているのだ。

「明日の教科は?」

「ライティング(英語)と世界史。」あいのりを見ながらぶー子が答える。

「世界史はぶっちゃけ暗記だから覚えるっきゃないけど、ライティングが・・・。」

「私は早く寝たいからちょっとしか教えられないから、やるんだったらサッサとわかんないところまとめときッ!!」

ちょっとしか教えられないのは時間だけの問題だろうか不安だったが、威圧的に言い放ったのでぶー子は観念したようだ。

食べ終わると風呂は諦めて2階に上がって行った。

関係代名詞である。

関係代名詞とは簡単に言うと二つの文章をひとつにまとめた言い方にするのだが、ぶー子の答えを見ると、二つの文章の間に勘で関係代名詞を入れて繋げているだけであった。

もちろん世の中そんなに甘くはない。

私はぶー子の間違いを正さなくてはならないのだが、ただ直すだけでは勉強にならない。

そこでひとつひとつ説明しなくてはならないのだが、英語を学んでいた時までさかのぼると私は生徒だったのである。

20年前に生徒だっただけの私は、関係代名詞を覚えてはいても教える能力がない。

明らかに間違っているのはわかるのだが、どうしたら正しい答えに導けるのかがわからない。

「だからぁ、この・・・・・・・・・・と・・・・・・・・・・があってこの部分が、じゃなくてあれ?ちょっとまって。・・・で、だからこれを・・・そうかそうか、ちょっと待ってね。」

こんな感じなので、最初のうちこそ私の説明の矛盾などを指摘していたが、しまいにはすっかり大人しくなってしまった。

さて次のページに進むか、とページをめくると「もういいや。」と言われてしまった。

私にもプライドがあるので、「わかった、こうしよう。」と、時間がなく正しい答えや解説を知ることができないから「嘘くさいが致し方ない簡単マニュアル」を教えておいた。どうなることやら。

「や、どーもありがとね。」素直なのは早く終わらせたいからに過ぎないだろうが、まだまだじゃ。

「教えてあげたんだからひとつちゃんと聞いてよ。」と毎回こんな勉強の仕方をするべきではないとクドクド話出したのだが、ぶー子はそれにひとつひとつ「ウン。」「そうだね。」と素直に頷いた。・・・と言う事はよほど早く私の話を終わらせたかったのだろう。

恐らくあの後は寝ただろう。

図らずも私のティーチングでぶー子を寝かしつけてしまった。

テストである。