作家・森村誠一が88歳で書き上げたエッセイ。
年齢を感じさせない文章は、さすがにこれまでたくさんの作品を精力的に書いていただけある。
しかしそんな森村氏も、老人性鬱という苦しい時期を乗り越え、認知症との診断もおりて老いと向かい合っていた。
仕事を引退し、自由の身となったら「どう生きるか」。
それを教えてくれる一冊だ。
ちょっと私にはまだ早かったかなぁという感じではあったが、父のことを理解するのに役立てばいいと思ったのである。
「ネバーギブアップ!」という最後の言葉に象徴されるように、森村氏は「挑戦し続けろ」と説く。
外に出ること。
歩くこと。
人と関わること。
興味を失わないこと。
身ぎれいでいること。
しかし父は、まだ挑戦はし続けているのである。それでも老いは容赦ない。
読み終わったら父にあげようと思っていたが、父にはもう遅く、私にはまだ早すぎたという感じだ。
押しつけがましさがない物言いで、すんなりと読めた。
定年を迎えたあたりで読むのがいいと思うが、「人として生きる」基本である。一度読んでおいて損はないだろう。
ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆
「老いる意味」 森村誠一
中公新書ラクレ
