人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子57歳。

老いる意味 / 森村誠一

作家・森村誠一が88歳で書き上げたエッセイ。

年齢を感じさせない文章は、さすがにこれまでたくさんの作品を精力的に書いていただけある。

しかしそんな森村氏も、老人性鬱という苦しい時期を乗り越え、認知症との診断もおりて老いと向かい合っていた。

仕事を引退し、自由の身となったら「どう生きるか」。

それを教えてくれる一冊だ。

 

ちょっと私にはまだ早かったかなぁという感じではあったが、父のことを理解するのに役立てばいいと思ったのである。

「ネバーギブアップ!」という最後の言葉に象徴されるように、森村氏は「挑戦し続けろ」と説く。

外に出ること。

歩くこと。

人と関わること。

興味を失わないこと。

身ぎれいでいること。

しかし父は、まだ挑戦はし続けているのである。それでも老いは容赦ない。

読み終わったら父にあげようと思っていたが、父にはもう遅く、私にはまだ早すぎたという感じだ。

 

押しつけがましさがない物言いで、すんなりと読めた。

定年を迎えたあたりで読むのがいいと思うが、「人として生きる」基本である。一度読んでおいて損はないだろう。

 

ぽ子のオススメ度 ★★★☆☆

「老いる意味」 森村誠一

中公新書ラクレ