人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

家の死骸

今週のお題「家を売る」

 

家を出て、結婚して、しばらくはずっと賃貸暮らしであった。

そのうちダンナの実家が空くというのでそちらに引っ越したが、いずれ売るから、というそれまでのつなぎだ。数年間とはいえ、家賃はなく、有難く住まわせてもらっていたのだった。

しかし、つなぎはつなぎである。やがてこの家を出る日が来るのだ。

家の売却に関しては義父母が全部やってくれたので、全く関わることはなかった。

もうかなり築年数が建っていたので、まずは解体だ。

私達の新居はそこから近かったので、大きなものだけ引っ越し屋さんに頼み、こまごまとしたものは少しずつ自力で移動させていた。

 

生きていくのに必要なものなんて、案外そんなにないのかもしれない。結局私達は多くのものを残したまま、フェイドアウトした。そして家はそのまま解体された。

 

そこはまるで、空襲にでもあったような瓦礫と化していた。

崩れた家に紛れて、私達の思い出深い私物がむき出しになっている。

壁というシールドをなくし、さらけ出されたプライバシー。

今となっては、それに価値はなくなってしまった。そう、ゴミだ。

過去、そこにあった生活は、ゴミとなっていた。

そしてやがてそれも、更地となった。そして、新しい家が建った。

あの家の形跡は全くきれいに消え去ってしまったが、いっそその方がいい。

私達が暮らした家の死骸。

見たくなかった。

きちんと最後まで片付けるべきだったと、今でも悔やまれる。

 

 

 

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by よくわかる!不動産売却 不動産売却の基礎知識を解説