今週のお題「おとなになったら」
子供の頃、そして若い頃に思い描いていた「大人」とは、真面目でつまらないものだった。まんじゅう食べてコタツで読書なんかして過ごす。それは人生の消化試合とでもいったイメージだった。
私は今年55になるが、私にとって55歳とは、夢も希望もない終わったものだったのである。
親がそうだったのかと言えば、実はそんなこともなかった。母は仕事をしながら絵や合唱、自治体の体操なんかに行って忙しくしていたし、父も何をトチ狂ったかチェロなんか始めたりして、割とエネルギッシュに過ごしていた部類だったのではないかと思う。
それでも私の中では「おやじ達が・・・。」「オバサンがよ・・・。」という憐みしかなかった。歳を取る、それはもう「終わる」ことを意味していたのだ。
ところがどうだ。
私は相変わらずテレビゲームにハマッているし、ついこの間までバンドだってやっていた。昼から夜までカラオケで歌い狂い、泥酔して床で寝たりしている。
つまり、人生まだまだ楽しい、ということだ。
あまりいい例ではないかもしれない(笑)
それでも私は、年々楽しくなっているような気すらしているのだ。
怖ろしいことに、まだまだやりたいことが湯水のように湧き出して来る。
お酒がなければそれもまだ汲み上げることができるかもしれないが、神も罪な足枷をつけてくれたものだ。
いつまでも、こんな「大人」でいられはしないだろう。
やがて私は色んなものを失っていくはずだ。
健康、経済力、能力。
それに順応しながら、その時なりに人生を楽しんでいく。
それこそが真の大人なのかもしれない。