人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

神の意図

ひとりで聖蹟桜ヶ丘まで行くことになったのだ。

ひとりで。

最寄りの駅に出ることですら危なっかしいのに、果たして無事にたどり着けるだろうか。

まず最初の難関は、忘れ物をしないことだ。

残金を確認した財布、パスモ、スマホ。これは絶対。

後はメガネ、本、飴などこまごましたもの。

惜しい。

帰りに寄るスーパーでの買い物のリストを忘れた。

新秋津駅到着。

ホームに行くと、「遅れています」という案内が出ていた。

まぁあまり気にしない。どうせ来た電車に乗るだけだ。

比較的空いてそうな入り口に並び、読みかけの小説を開く。

やがてアナウンスが入った。

良く聞きとれなかったので次の電車の表示を見たら、「東京行き」になっていた。

あれ?東京行き??

逆じゃんEE:AE482な~~んも考えないで、良く使う方のホームに出てしまったEE:AE5B1

危ない危ない、乗っちゃったらどこで気づいただろう。本読んでたし。

武蔵野線。

次は確か中央線だから、西国分寺で乗り換えだ。

二駅。

結構ひと駅が長いので、読書が進む。

西国で降りる。順調順調。

で、中央線に乗って、どこ行くんだっけ?乗換案内を開く。

西国→立川→分倍河原→聖蹟桜ヶ丘。

えっ、こんなややこしかったっけEE:AEB2Fややこしくしないために新秋津から乗ったはずだったか。

乗換案内を新秋津からの検索にしてみる。

あっ、西国じゃなくて、府中本町で乗り換えだったEE:AE5B1こっちでいけば乗り換えがひとつ少なくて済んだのだ。

仕方ない、立川分倍河原経由でEE:AE5B1

聖蹟桜ヶ丘。初めての駅、初めての街。

ここからはスマホの経路案内を頼りに、目的地まで歩く。

位置情報をONにすれば、リアルタイムに自分の位置と照らし合わせることができるのだ。

ただちょっと鈍くて精度はイマイチ。

特に最初は自分の向いている方向が分かりにくく、しばらく歩いて自分の経路をある程度出す必要がある。

こっちか??

いやこっちか??

自分の軌跡の反応が遅いため何度も行ったり来たりして、やっと進むべき方向と地図の向きが分かった。

あとはすぐそばの広い通りを、しばらくまっすぐである。

位置情報をONにすると充電の消費が早くなるので、次のチェックポイントになる16号に突き当たるまで切っておこう。

スマホをしまい、代わりに次の課題曲の歌詞をプリントした紙を出す。こうして歩きながらだと、覚えるのに集中できるのだ。

歌詞のインプットに集中して、ずいぶん歩いてしまった。16号はまだか?先に小高い丘が見えて来た。突き当たりそうだが。

やがて標識が見えて来たので目を凝らすと、それは16号ではなく20号であった。

20号?16と20を読み違えたか??

何しろそそっかしいので、まず自分が信用ならない。

改めてスマホの経路案内を開いて自分の位置情報をONにする。

自分の場所が出てこない。

鈍いのだ。精度もイマイチなのだ。少し待つか歩くかしないとダメか。

さらに進みながら自分の位置が出るのを待った。

おかしい。いくらなんでも遅すぎる。私はこの地図上にいないのか?

地図を縮小して、広範囲を見られるようにする。

いたEE:AEB64

逆だEE:AEB64EE:AEB64

逆に向かって歩いてたんだEE:AEB64EE:AEB64EE:AEB64

まずは方向転換して戻ったが、午前の部に間に合わなかったので、午後まで時間が余ってしまった。

駅前でラーメンを食べ、今度はさっきと逆の方向へ向かう。

そもそも昼前には着いて、午後に戻ってそのついでにラーメンを食べて帰るつもりだったのだ。何一つできてやしない。

トホホと思いつつ歩いていたら、道端にとても綺麗な鳥を発見。

ネットの野鳥図鑑で調べると、「ジョウビタキ」という鳥であることが分かった。

そうか、この鳥に出会うために、こんなに遠回りしたんだね。

神様は無駄なことをしないのだ。

めでたしめでたし。

画像:UMAMI de TORIMIさんよりお借りしました。