猫や犬は、死んだ後もしばらく家にいるらしいという話を良く見た。・・・というか、そういう話を探したと言った方がいいか。
それにしても、決して少なくはないので、驚いたと同時に希望が出て来たのだ。
良くあるのは、夜寝る時に布団に来る。ズシンと重みを感じるらしい。
布団に飛び乗る音。首輪についていた鈴の音がするなど。
ご飯を食べている気配。
足にまとわりつく感触。
たくさんの「証言」があるのだ。このうちいくらかは思い違いだったとしても、事実は含まれているのではないかと考えたくなる。
ということは、私にも可能性があるということだ。
なので時々気まぐれに呼んでみたりもするが、返事はない。
一緒に寝たのは最後の数日ぐらいなので習慣にはなっていなかったが、それでもラッキーが寝ていた左側を意識する。
しばらくは来ることを期待して空けていたが、結局またエルがそこに入り、いつもの生活に戻ってしまった。
ラッキーは、来ないのだろうか。それともいるのに気付けないだけなのだろうか。
休日。
私はエルと朝寝を貪っていた。
そもそもダンナのところで寝ていたのを、朝になってダンナが起きる時にこちらへ連れて来て、バトンタッチしたのである。休日のパターンだ。朝寝もするわ。
天気のいい午前中である。
何度目が覚めてもまた眠りに落ちる幸せ。
何度目かの目覚めで、私はふと「気配」を感じた。
頭の左上あたり。
確かな気配だ。あり得ないことが起こっている緊張と、心待ちにしていたものの到来に心拍数が上がる。
その時、布団の中で私の左腕に抱かれて寝ていたエルが、フーッと私の頭上を威嚇した。
来ている。
確かに来ているのだ。
「ラッキー・・・。」
寝たままそっとその辺りを振り返ると、
・・・大五郎でやんのEE:AEB64
これもまた休日にあるパターンで、朝起きたダンナが、何も言わずに大五郎をこの部屋に投入することがあるのだ。
49日までは、魂はここにいるという。
まだチャンスはある。
私は今日も、耳を澄ます。