このCDを娘ぶー子の部屋で見つけて度肝を抜いたのは、彼女がまだ高校生だった頃だったか。
・・・まさか50になるダンナがこれを演ることになるとは、予想だにしなかったEE:AEB64
いよいよ本番は三日後と迫った。
ダンナがこの曲を隣の部屋で練習するのを聴きながら、私は松任谷由実などコピーしていた。
2人とも、必死だ。鬼気迫るメガラバと晩夏。
コピーは、辛抱、忍耐、集中力の世界である。
数ある楽器の音色から求める一つを選び出し、その奏でる音を抽出する。
それを五線譜に書き起こすのは、もはや数学である。
つまり、どれをとっても私の苦手な作業なのである。
ストレスがかかると何か食べたくなるのはなぜなのだろうか。
普段食べないスナック菓子の袋を開け、禁断の歌舞伎揚げを頬張った。
冷蔵庫を往復し、あわよくば2階まで行き猫を撫でる。
時間もかかる訳だ。
音色作りも、困難を極める。
1曲で使う音色が多い場合、いちいち音色を切り替える訳にはいかないので、鍵盤の範囲で音色が変わるように割り振ることになる。
一番下からミまでをラッパの音、その隣のファからドまではオルガン、そこから上までは全部ストリングス、という風に設定していくのだが、ラッパの音の範囲がオルガンにかぶっちゃったりしてもうてんてこ舞いだ。
歌舞伎揚げを食べ過ぎて気持ち悪くなり(そもそも賞味期限が切れていた)、なぜかノンアルを飲み始める。こっちの方ももう訳が分からん。
そして出来上がった音色は保存するのだが、実はもう保存場所は使い切って目一杯埋まっている状態であった。
こんな事態に備えてSDカードに保存できる機種を買ってあったのだが、以前、保存した音色をひとつ呼び出した時に何かをしくじって、全音色上書きされてしまったのだ。
もうSDカードも自分も信用できないので、仕方なく音色データをいちいちノートに書き出している。
ノートに書き出したデータは消していい状態になるので、ここへ新しく作った音色を保存することになるのだが、この作業を繰り返していくうちに気がついた。
消したはずの音色が、場所を変えて残っているのだ。
一体どうしてこんなことになるのだ、本当に解せない。泣きたい。
消されるべきデータが残っているという事は、消しては困るデータが消されてしまったのではないのか。
それが何の音色か分かるのは、その音が欲しくなった時である。
頼むからASIAは残ってくれEE:AE5B1
残すところ、あと1曲となった。
これが終わればやっと練習に入れる。
愚痴を聞いてくれてありがとう。
明日はもっと晴れ晴れとしていることを祈る。