健康のため、お財布のため、終バスを逃したらできるだけ歩いて帰るようにしているのだ。
終バスを逃すぐらいだ、たいがい酔っ払っている。
それでも手持ち無沙汰なので、コンビニでお酒を買って、それを飲みながら家まで歩くのである。
酔っ払いには長い道のりだ。
「眠い」「遠い」「寒い」などと考え出すとなお遠く、できることなら楽しく過ごしたいものである。
その時は、ロックバンドのボウイの話をしていたのだ。
マニアックな話で申し訳ないが、私はボウイの中でも「Just a hero」というアルバムが好きで、そんな話をしながら歩いていた。
このアルバムはシンセや打ち込みを多用した異色の作品で、これが一番好きなどと言うと邪道だと言われかねないものである。
しかし、好きなものは好きなのだ。
まずオープニングの、オープニングの、「・・・一曲目って、タイトルなんだったっけ??」
「一曲目!?えーっと、えーっとEE:AE5B1」
時間経過か酒のせいか、タイトルが思い出せない。
「ダーンダダーンダーンダダダダ~ンEE:AE5BE」こういう時は、歌ってしまった方が早い。どこかにタイトルが入っているはずだ。
サビで散々タイトルを繰り返していたのですぐに思い出せたが、最後まで歌いきってしまった。
厳密に言うと、歌ったのはダンナだ。私はイントロのベースからの流れで、ベースラインを歌っていた。
「カースカカースカカースカカースカEE:AE482」
間髪入れずに続く2曲目のイントロはカースカだ(笑)
若い頃に覚えた曲は、忘れない。一ヶ月前に必死で覚えた曲よりも、正確に覚えているから不思議だ。
だましリズムのような休符もバッチリ合うのが面白くて、2曲目もすっかり歌いきってしまった。
「ジャジャッジャジャー、ジャッジャッジャッジャジャー」
違います。その曲はまだです、
「チャラララ~~~、チャラチャーラーチャーラーチャーラーラーラーラ~~EE:AE5BE」
「そっちだったかEE:AEB30」
初めてベースを練習した曲だ。ベースラインも自信があるぞ。
やがて面倒になってきたのか眠くなってきたのか疲れてきたのか、ダンナがリピートを間違えるようになってくる。
「ちょっと短くないEE:AEB2F」
「忙しい人のための『Just A hero』」。
なんじゃそりゃ。
計ったわけではなかろうが、リピートを大きく端折ってA面を歌いきったところで、家に着いた。
次回はB面だ。
またあっという間に家に着いている予定である。