イレギュラーな予定がポツポツ入り、ペースを掴めない週である。
そんな「予定」の中には、「飲んでしまった」も含まれる。
この大きなイレギュラーは大きく翌日を狂わせるので、恐ろしいイレギュラーなのであった・・・。
娘ぶー子が帰ってきたのだ。
今度は宇都宮へ行っていたのだが、土産に地ビールとワインと餃子を送ってきたのだった。
いつでも飲めるようにビールは冷やしたのだが、その「いつ」は「すぐ」に「突然」やってきたのである。つまりそれは、我が家に届いた翌日=昨日だったのである。
ダンナの顔色を窺うように、夕食のテーブルにビールグラスを置く。
まだこれでは「飲み」は確定しない。冷蔵庫にはノンアルも冷えており、これを飲む日も多いのである。
何となく、「飲もう」と言い出したほうに翌日の責任が生じてしまうような気がして、できるだけその決断はダンナにさせてしまいたい。
ダンナは呆気なく「地ビール、飲むか」と言ったので、これにて確定、大きなイレギュラーがダンナによって発生したというシナリオができあがる。
ビールが2本空き、果実酒を飲み、ワインのボトルが空く頃にはもういい時間であった。
今寝ておけば翌日にもさほど響くまい、という、ぽ子的にはラストチャンスの気づきである。ここを無視すれば、恐らくタガが外れ、開き直り、限界まで飲んでしまうだろう。
寝るのは惜しかったが、今週は月曜日も二日酔いで死んでいたのだ、これ以上平日を無駄にしたくない。夕食の片付けに取り掛かる。
要は、皿を洗ったり鍋を洗ったり残り物をタッパーに移したりする訳で、楽しい仕事ではない。飲んでやるに越したことはないと思いつき、果実酒の残りを全部グラスにあけた。
ちなみにこれは、キーボード弾きの果実酒使いからの頂き物で、自家製のライム酒であった。ライムの爽やかさとほろ苦さが絶妙な、大人の味だ。
何だか割って飲むのはもったいない気がして、ロックで飲むことにした。この方が、より果実感が上がり、旨みをダイレクトに味わうことができるのだ。カルピスの原液とは訳が違うぞ。
これを飲みつつキッチンを片付けると、そこにはキウイ12個が残された。
しまった、人の果実酒を飲んでいる場合ではない、私もコイツを漬けようと思っていたのではないか。
これは昨日、値下げ品の「持ってけドロボー」的売り場から衝動的に買ったもので、4個入って120円というバカ安キウイであった。
果実酒用のホワイトリカーがまだ余っていたので、それを3パック買って帰ってきたのであった。
結果的には酒が足らず、ぶー子に買いに行かせたら、いつもの倍額のホワイトリカーを買ってきよった。キウイとのトータルでも高くついてしまった(笑)
で、そのキウイが流しに残っているのである。
叩き売り状態のキウイである、恐らく超熟、一刻の猶予もなかろう。
私の過去の果実酒の失敗は、「買ってから果物を放置しすぎた」点も否めないのである。
やるしかない。
観念して皮をむき、重さを量って容器に入れていく。
酔っていたので作業自体は面倒ではなかった。
ふたつのキウイ酒の瓶を流しの下にしまい、歯を磨いていよいよ寝ようと思ってまたひとつ、思い出した。
つけっぱなしのテレビ画面は、ゲームが一時停止の状態で止まっていたのであった。
そうだった、ゲームやってる途中でダンナが帰ってきたから、ポーズをかけておいたのである。寝るならキリのいいところまでやってセーブするか、ここまでの分をチャラにして切ってしまうかである。
もちろんゲーマーとして後者はありえないので、続きをやることになる。
バカバカしい話だが、私はその時、非常に高度な裏技に挑んでいたのだった。
時間をかけてその状態にまでこぎつけたのだ、酔ってこの努力を無駄にしたくはない。
しかしこの裏技完遂までには、上手くいってもあと数時間はかかると思われた。
何でそんなものに手をつけてしまったのかというと、「どうせできるわけがない」とタカをくくっていたのであった。
ところがなかなかいい調子で進んでしまい、すぐに諦めることになるはずが、終わるに終われないという状態になっていたのである。
心配には及ばなかった。ポーズを解除してすぐに失敗をし、裏技完遂の夢はついえた。
せっかくここまでやったのに、という思いと、これで寝れるという思いが錯綜し、複雑な気分である。
ゲームを終えてゲーム機の電源を落とす前に、「YouTubeを見る」という文字が目に入った。
そうだった、PS3ではYouTubeが見れるのだ。
パソコンよりも大きな画面で、音質もいいのである。
どれどれ。
・・・という訳で、寝坊した。
もうこういう事は、一年に一度ぐらいになりたい。