人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

そして冷や汁

何が何でもやらなくてはならない事は、晩ご飯の支度である。

掃除や洗濯などはちょっとぐらいやらなくても何とかなるが、「晩ご飯がない」というのは非常に困った事態なのである。

そして幸い、料理は嫌いではないので救われている。

とはいっても何度も書いているように、私は自力でレシピを考え出すことができない。

なので、時間をかけてレシピ本やクックパッドとスーパーの広告とにらみ合って、やっと決まった晩ご飯をレシピに沿って作るのである。

こうして料理は好きだが能力のない人間でも何とかなっているが、往々にして時間が足りなくなるものなのだ。

あっちこっちから食べたいものを寄せ集めるために、ひとつひとつにかかる時間にまで気が回らない。

そうすると、なんちゃらの野菜をすりおろすスープに、3種類の薬味を刻んで山のようにした上にフライドガーリックをかけて、豆腐や肉の混ざったサラダはドレッシングから作る・・・、なんていう具合な組み合わせが多々起こるのである。

そもそも私は非常に食いしん坊なので、食べたいものを我慢することができない。

そして、食べることに関する面倒は厭わないのである。

すると、晩ご飯を作るのに2時間、3時間なんていうのは当たり前になってくるのである。

しかし結論から言うと、これはこれでいいと思っている。

時間はあるのだ。

マイナス要素があるとしたら、私の面倒だけである。

今夜の献立は、冷や汁であった。

馴染みのないものだが、ダンナが食べたいと言っていたことを思い出したのだ。

これも結構面倒そうなレシピであったが、見たらどうしても食べたくなった。

しかし問題がある。うちにはすり鉢がないのだ。

あった時代もあった。

父が持たせたのだが、全然と言っていいほど使うことはなく、場所だけとって正直邪魔になっていた。

それがある日、落として割れた。父には悪いが、それでも困ることはなかった。

離乳食用の小さなすり鉢で、事足りていたのである。

ところが冷や汁ときたら、大量の材料をすり鉢でこねくり回すというものであった。

すり鉢はない。

しかし食いしん坊は食べたい。

良くレシピを見ると、摺らなくてはならないのはゴマぐらいであった。しかしかなり大量。

わかった。

この大量のゴマを離乳食用のすり鉢でおろして、あとはボウルで混ぜるようにしてしまおう。

かくして2分の1カップのゴマを2回に分けてすりおろし(しかもそれは、「油が出るまで良くすりおろせ」と書いてあった。油?)、そこに150gの味噌を入れ、大さじ2杯の砂糖を足し、60gのしょうがをすりおろして入れて、きゅうり2本分を切って塩もみし、さらにネギとみょうがとしそを刻んでたっぷり入れた。

疲れたEE:AEB64さすがにこのレシピをチョイスした人間を呪った。

もう何も考えたくない。

ダンナから「会社を出た」というメールがきた。どうすんの、ここから先は。

さようなら。

私は風呂に入ります。