何が何でもやらなくてはならない事は、晩ご飯の支度である。
掃除や洗濯などはちょっとぐらいやらなくても何とかなるが、「晩ご飯がない」というのは非常に困った事態なのである。
そして幸い、料理は嫌いではないので救われている。
とはいっても何度も書いているように、私は自力でレシピを考え出すことができない。
なので、時間をかけてレシピ本やクックパッドとスーパーの広告とにらみ合って、やっと決まった晩ご飯をレシピに沿って作るのである。
こうして料理は好きだが能力のない人間でも何とかなっているが、往々にして時間が足りなくなるものなのだ。
あっちこっちから食べたいものを寄せ集めるために、ひとつひとつにかかる時間にまで気が回らない。
そうすると、なんちゃらの野菜をすりおろすスープに、3種類の薬味を刻んで山のようにした上にフライドガーリックをかけて、豆腐や肉の混ざったサラダはドレッシングから作る・・・、なんていう具合な組み合わせが多々起こるのである。
そもそも私は非常に食いしん坊なので、食べたいものを我慢することができない。
そして、食べることに関する面倒は厭わないのである。
すると、晩ご飯を作るのに2時間、3時間なんていうのは当たり前になってくるのである。
しかし結論から言うと、これはこれでいいと思っている。
時間はあるのだ。
マイナス要素があるとしたら、私の面倒だけである。
今夜の献立は、冷や汁であった。
馴染みのないものだが、ダンナが食べたいと言っていたことを思い出したのだ。
これも結構面倒そうなレシピであったが、見たらどうしても食べたくなった。
しかし問題がある。うちにはすり鉢がないのだ。
あった時代もあった。
父が持たせたのだが、全然と言っていいほど使うことはなく、場所だけとって正直邪魔になっていた。
それがある日、落として割れた。父には悪いが、それでも困ることはなかった。
離乳食用の小さなすり鉢で、事足りていたのである。
ところが冷や汁ときたら、大量の材料をすり鉢でこねくり回すというものであった。
すり鉢はない。
しかし食いしん坊は食べたい。
良くレシピを見ると、摺らなくてはならないのはゴマぐらいであった。しかしかなり大量。
わかった。
この大量のゴマを離乳食用のすり鉢でおろして、あとはボウルで混ぜるようにしてしまおう。
かくして2分の1カップのゴマを2回に分けてすりおろし(しかもそれは、「油が出るまで良くすりおろせ」と書いてあった。油?)、そこに150gの味噌を入れ、大さじ2杯の砂糖を足し、60gのしょうがをすりおろして入れて、きゅうり2本分を切って塩もみし、さらにネギとみょうがとしそを刻んでたっぷり入れた。
疲れたEE:AEB64さすがにこのレシピをチョイスした人間を呪った。
もう何も考えたくない。
ダンナから「会社を出た」というメールがきた。どうすんの、ここから先は。
さようなら。
私は風呂に入ります。