人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

積善館@四万温泉

いや~~、面白い宿だったので紹介させて欲しい。

ここ積善館は日本最古の温泉建築宿とのことで、とにかく古い。

創業は元禄4年(1691年)で、その当時の様式を極力残している。

とはいえそれは本館であり、他にその後増築された山荘、佳松亭がある。

しかし山荘の建築は昭和11年、こちらもかなり古い。

いわゆる普通のホテル的に利用したかったら、佳松亭ということになるだろう。

そして私達が泊まったのは、一番古い本館である(笑)

1泊2食付5350円~と破格だが、設備は古い、食事は簡単な弁当のみ、と、それなりの覚悟が必要だ。

どう古いかというと、まず見た目に恐ろしく古い。

廊下は板張りで、歩くたびにガコッガコッと大きな足音が響き、室内に入れば軽く揺れる(笑)もちろん隣の声も良く聞こえる。

あちこちに染みが浮き出ているが、清潔はしっかり保たれている。古いというだけだ。

なので私個人としてはこの古さ、タイムスリップとして楽しむことができた。

室内にある設備は小さなテレビ、冷蔵庫(飲み物の持ち込みは自由)、金庫、こたつのみ。

備品はお茶セットと浴衣と半纏、ハンドタオルと歯磨きセット。

バスタオルとティッシュがないので要注意。

館内に娯楽施設や飲食店は皆無である。

金持ちが泊まっている佳松亭の方にはお土産屋さんがあったみたいだが、気づきもしなかった。あっちは別世界である。

部屋にはトイレも洗面台もない。どちらも部屋を出て共同だ。

そもそもこの本館は湯治宿だったようで、寝るためだけにあるものだったらしい。以前は自炊だったとか。

風呂は4つ。

いわゆる普通の大浴場と露天風呂が金持ち棟にひとつ、混浴(男女それぞれ別々で専用になる時間帯あり)がひとつ、貸切にできる家族風呂がひとつ、そして目玉の大正ロマネスク調の元禄の湯。

大浴場と元禄の湯に入ってきたが、どちらも良かったので満足だ。

とはいえ、まぁ大浴場と露天風呂はこれと言って特徴のないものだったが、お湯がとても気持ち良かったのだ。

良く言う「いいお湯」の定義が良く分からないので、あくまでも個人の漠然とした感想だが。

国の登録文化財になっている元禄の湯は、ぜひ入ってみるべきである。

昭和5年に建てた時そのままの雰囲気を残していて、異空間に飛び込む感じだ。

ドアを開けるといきなり風呂で、脱衣室はない(笑)

3人も入ればいっぱいになりそうな湯船が5つ、ドーンと出迎えてくれる。

撮影禁止だったので、宿のHPから画像をお借りする。

実際にはこんなに綺麗ではなく、かえってそれがいい味を出している。

奥の壁に小さな小さな扉があり、「釜風呂」となっていたが、これは怖くて開けることすらできなかった(笑)釜って。

食事の方も覚悟はできていたので、あれはあれでいい。

確かに少ないが、丁寧に作られたものである。

精進料理のようなものだ。

後で聞くと、「食事」を改めて「食治」とし、栄養士さんの協力を得てカロリーや塩分を控えたものを出しているとのこと。

ここ本館は、「遊びに来る」のではなく「体を癒しに来る」宿なのであった。

そんな宿で、またアホのように飲みまくってしまった。

持ち込みが自由というので遠慮なくボトルのワインまで持ち込んで飲んだが、翌日は案の定二日酔いだ。

しかしこの精進的弁当に救われた(笑)

お粥だ。ヨーグルトだ。ありがとう。

ちゃんとおかずもある。しかし、魚ですら喉を通らなかった(笑)

この朝に限っては、もっと簡素でも良かったぐらいだ。

味噌汁はとても美味しくておかわりをEE:AEACD

塩分、控えめ過ぎで超薄味であった。

せめて塩が置いてあったら良かったのだが。

まぁこんな感じで突っ込みどころ満載な宿だったが、私には楽しかった。

知ってて行けば、不便なところも楽しむことができるだろう。何せ、日常ではもう出会えないものばかりである。

写真も撮ったのでご覧いただきたい。

宿に着く前にこれが見えて、旅のセッティングをした身とすれば非常に不安になる訳で。

「千と千尋の神隠し」のイメージモデルになったと言われている。

真偽のほどはわからないが、そう言われるのも頷ける佇まいだ。

こちら、入り口でございます。

ここに泊まるのでございます。

年季の入った連絡通路は、今は使われていない模様。

元禄の湯を外から見たところ。

本館の下を通っている通路。

もはや国も時代も超えて、満州とかいう雰囲気である。

大広間を館内から見る。

凄い。

もう不安というレベルではない。楽しむ段階に入った。

フロントの手前にある「電話室」。

横の階段を上がって、部屋へ。

このような感じになっております・・・・・・。

右の扉の中が共同トイレだ。

何が共同って、みんな共同、男女も共同である。

しかし開けるなり男子用の便器が扉もなく並んでおり、入れないっつーのEE:AEB64

迷路のような複雑な造りになっており、あちこちに階段がある。

やっとフロントまでの道順を覚えたのは、帰る時であった。

共同の洗面所でございます。

本館と山荘をつなぐ「浪漫のトンネル」。

これも「千と千尋・・・」に出てくるトンネルに似ていると言われている。

繰り返すが、私はこの宿をとても楽しんだのだ。古いことを強調したいのではない。

日常を離れてタイムスリップしたい人に、おすすめしたい。

積善館HP