KEEP DANCING
踊れないが。
黒いTシャツには白抜きでそう書かれていた。
このところ、毎日娘ぶー子のいらなくなったTシャツを着て過ごしている。
最近またまとめていらない服を出してきたが、今回はほとんどTシャツだった。
まだきれいなものばかりで、ぶー子いわく「こんなの、どこにも着ていけない」ということである。
学祭で作ったクラスTシャツ、ダンスサークルのTシャツ、ダンス部のTシャツ、ダンス教室の発表会で着たTシャツ。
どれも「学校」か「ダンス」の絡んだ、オリジナルであった。なるほど、着ていけない。
しかし私はケチで貧乏性なのだ、まだきれいな服を捨てるようなことはできないのだ。
今回も部屋着という名のパジャマ化に決定だ。パジャマだらけである。
とはいえ今は買い物ぐらいにしか外に出ないので、Tシャツ上等、とっかえひっかえ着ている。
昨日はぶー子が高校2年の時の文化祭で着ていた、クラスTシャツだった。
カレー屋台だったので、CURRY、と黄色い文字で書いてある。
その前は、外に出れなかった(笑)着てみたら「クソ餓鬼」と大きな文字で背中に入っていたのだ。
でも捨てない。
着れるから。
そんな服ばかりである。
「もうあまり着ない」などという段階では、とてもじゃないけど捨てることができない。
「もう絶対に着ない」でも、穴が開くとか汚れるとかしない限り、捨てられないのである。
タンスには、着もしないのに何年も衣替えを行き来している服がたくさんある。
そこにまた、Tシャツが加わったのだ。入らない。
ぶー子は、階段の手すりにそれらを積んでいったが、しまう場所がないのでまだ置きっ放しだ。
ちょうど暑くなってきたので、1枚ずつそこから抜いて着ているが、その後の行き先を何とかしなくてはならない。
ということは、パジャマを減らすということだ。
パジャマの入っている引き出しを開けると、すでにパンパンである。
寝るだけの制服である、そう簡単にくたびれないのがパジャマだ。
最近捨てた私の2着は、どっちもウエストのゴムがゆるくなったのが原因だったというのが屈辱だが。
今はまだ長袖の冬向けのものが入っていて、そのうち7組がダンナの上下である。
7組だ。
毎日着替えても、1週間違う柄を見ることができる。
安いものを衝動買い、家にあるものはくたびれない結果だが、対する私のものは3組だ。しかもそのうち1組は、今年ぶー子から下がってきたものだ。
スウェットの下だけ2本入っているが、実は冬は、着なくなったパーカーとトレーナーをパジャマ化し、全く入らなかったので専用の収納場所を作ったのである。
衣替えをしたら今度は、しまってあったTシャツが大量に出てくるだろう。
ラーメン屋のTシャツ、ネットゲームのTシャツ、80歳の母が選んだTシャツ。
この夏、パジャマを入れている引き出しはどうなるのだろうか。