人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

母と兄貴とマリちゃんと

千川は、秋津から乗り換えナシで行かれたのであった。

兄夫婦の家にお邪魔してきたのだ。

半年振りぐらいだろうか、会うのは。

家に行くのは初めてである。

「あの家は地震で屋根が崩れかかっているので注意。」

駅まで迎えに来た兄が、ガイドのように指差して見せる。

このあたりは我が家のある東村山よりも揺れたようで、兄の家ではテレビが倒れて壊れたそうだ。

それがトラウマになって、今ではテレビを寝かしてる(笑)

見る時にいちいち起こすらしい。

お嫁さんのマリちゃんは、ほんっとうにイカす女性である。

綺麗に準備されたテーブルには、高級レストランで出てくるような食べ物が次々と現れる。

フレンチのように一皿ずつ出しては話に加わり、次の皿を出したら汚れた皿をすぐに洗う。

なので常にキッチンもテーブルも綺麗なのである。

私は自分が今まで「ホームパーティ」と呼んでいた集いを恥じた。

毎度時間に間に合わない程下品なつまみを作り、一度に出すのでテーブルに乗りきらない。

皿など洗わないので、二日酔いだというのに翌日地獄を見る。

相撲部屋のちゃんこの方が、よっぽど上品である。

壁を埋め尽くすような数のレコード。

音が良いのでいまだに買って集めているらしいが、プレイヤーのフタを開けたままにしてレコードをかける。

やがてA面が終わると振り向いて裏返す。

煩わしいアナログ作業が今となっては懐かしい。

便利さを追求する我が家ではなくしてしまった、どこか暖かい作業。

普段はあまり量を飲まないビールも、話しながらだとたくさん飲めるから不思議だ。

モエ・エ・シャンドンで乾杯したらビールをたっぷり飲み、ワインを数本空け、訳のわからないレモンの酒を飲み、みんなゴキゲンだ。

同じ血の流れている兄に私は「酔っ払い武勇伝」を聞かせるように頼んだのが、「そんなにひどい事には滅多にならない。」と言うのでシラけた。

やっとつまらなそうに言った事は「江古田から全裸で帰ったときかな」であったが、充分である。

猛烈にタバコが吸いたくなったが、買いに行くにはコンビニまで行かなくてはならない。

「葉巻ならある」というのでベランダで兄と葉巻をふかす。

遠くに池袋や新宿の夜景が見えた。

背後に母とダンナとマリちゃんが楽しげに話をしている気配。

いや~、家族っていいね。

早くに家を出てバラバラの家族だったが、時が経てばまたこうして集まるようになるのか。

しかし父はいない。

私とは絶縁中、母とはケンカ中だ(笑)

父からの贈り物だという「塩」だけが、卓上にあった。

「もう11時」と聞いて、ぶったまげた。

楽しい時間は早いと言うが、あっという間であった。

今度はうちにおいでね、と言ったはいいが、あんな部屋に、あんな料理を出す訳にはいかない。

12月と考えているが、決して長い猶予ではない(笑)