人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ネカフェでモンハン

ネカフェ特典。

つまり、ネットカフェの特典であり、マンガ喫茶で与えられる特典のことである。

とく‐てん【特典】

特別に与えられる恩典。特別の待遇。「会員の―」

特別に与えられる恩典。

ありがたい話ではないか。

その恩恵にあずかろう。

して、何の特典かと言うと、ネットゲームである。

我が家ではまだまだモンハン熱は冷めていない。

相変わらず「あれを集めろ」「あれを狩れ」とやっているが、なかなか手に入らないレアアイテムというものが中には存在するのである。

アイテムはレアだが、レアアイテム自体はレアじゃないところが意地悪だ。

ちょいちょい必要になるレアアイテムらに頭を悩ませている。

目下必要なのはダンナの「逆鱗」である。

入手確率は、1回敵を倒して1%。

強くて面倒な敵を選んでも、せいぜい4%なのである。

面倒な敵は倒すのに時間がかかるので、1%の方を繰り返し倒しているが(マラソンと呼ばれる方法である)、これが、全く出ない。

他に方法はないのか?

あったのである。

それが「ネカフェ特典」。

つまり、ネットカフェでプレイして、時間に応じてもらえるポイントと交換するのである。

計算すると、3時間で1個。

私の計算では1時間で3個だったが、逆であった。

必要数は3個だが、9時間もいられないから、とりあえず3時間で1個だ。

受付でコントローラーを受け取る。

ペアシートに入り、ふたりで隣り合わせてプレイだ。

靴を脱いで足を伸ばして入れる。

つまり、ダラーッと寝っ転がってできるのだ。

フカフカのクッション。

ソフトドリンク、飲み放題。

これって極楽~~~EE:AEB64

が。

まずログインに手間どった。

難しい事ではないが、勝手が違うのでややこしくなった。

コントローラーのボタン配置が、いつもと違っていた。

全ての配置を確かめる事は面倒だったので、分かる部分だけ設定しなおして、クエストに出た。

で、やはり違うところだらけなのである。

余計にアイテムを使い、「こんな野郎に」という思いで何とか終わらせた。

そもそも曲が違うのだ。

ログインしてから、ずっと同じ曲が繰り返しかかっている。

初めて聞く曲だったが、ネカフェバージョンだと思って気にしないでクエに出たのだ。

しかし、クエ中までこれでは困る。

本来なら敵が現れれば「どぁ~~~!!」出ました~~!!的な効果音が鳴るし、音は曲だけではないのだ。

ザコ敵の気配、メインの敵の攻撃音、こちとら真剣勝負である。

遊びでやってんじゃねーんだよ。

遊びか、ハハハ。

「・・・何か、曲が違います・・・。」

ダンナにヘッドフォンを渡す。

ここまでに至るまでに、「ログインできない」「音が片方出ない」「音が全く出ない」「コントローラーの配置が違う(3回)」と、まるでダンナが悪いかのように文句を言い続けてきたのだ。

私としてももう言いたくなかったが、これは聴覚障害ほど深刻な事態なのである。

散々いじって分からないので、店員を呼んだ。

若い女性スタッフで心配だったが、やはり彼女は「私もPSPの方ですが、モンハンやったことがあります。この曲は聞いたことないですね。」とどうでもいい事を言った。

挙句に「再起動かけます」と言ったので、ダンナが超たまげて「俺がやる俺がやる!!」と割って入ってきた。

何をここでカッコつけたいんかい、と思ったが、さっき苦労して戻した設定がチャラになってしまうところだったらしい。

結局曲は、別で開きっぱなしになっていたウィンドウから流れていたことが分かった。

元凶は私である。

さて、やっといつもと同じ条件でプレイできるようになったのは、1時間も経つころか。

ここまで来るのは面倒だったが、やっぱりこうしてふんぞり返ってコントローラーを握れるのは有難い。

ヘーゼルナッツのシロップの入ったカプチーノ。

ヘッドフォンは、いつも聞こえない音も私の耳に届けてくれる。

・・・・・。

・・・・・。

・・・・・。

しかしである。

無言なのだ。

静まり返ったネットカフェで、ヘッドフォン。

普段は「じゃあ私こっち先にいくから。」「ごめん、回復薬、持ってる?」などと必要な事はもちろん、「猫、うざー」「しびれてまっせw」などの軽い会話も交わしながらプレイしているのである。

こんなに側にいるのに言葉を交わせないなんて、不倫か(笑)

しかし、

「あ!!!」

ゲーム上のダンナのキャラが倒れたその時、彼はとても大きな声でつい叫んでしまった。

その声に驚いて見ると、ダンナも「しまった」と思ったようで、コントローラーを持っていない方の手で口を覆い、目を大きく見開いていた。

その敵はとても強く、ゲーム上では残された私も瀕死の状態で戦っていたが、口は塞がってるくせに目はむちゃくそ大きく開いてる顔が可笑しくて笑いこけてしまった。

3時間いて、倒した敵はたったの4匹である。

正確に言えば、戦ったのは4匹で、倒せたのはそのうち2匹だ。

しかしポイントでダンナはやっと、逆鱗を手に入れる事ができた。

全部揃うまではあと6時間である。

「喋れない・設定面倒」のネカフェだが、ふんぞり返ってプレイできるのはそれに匹敵する快適さがある。

±ゼロで、また来てもいいかなぁとは思っている。