「そ~~れっ、そ~れっそ~れっ、お祭りだぁぁぁぁぁ~~EE:AE479EE:AEB86」
脱走したエルを小脇に抱え、娘ぶー子は小躍りしながら階段を下りていった。
ゴキゲンそうである。
私は一瞬、昨日のことは記憶違いかと思ったほどだ。
昨日。
出先から戻ると、ぶー子はバイトから帰っていた。
珍しく家族が揃うというので、私たちはぶー子も好きそうなツマミを選んで、買い物から帰ったところであった。
宴会、始めるぞ~~、と呼びに部屋のドアをあけると、そこにはうずくまってガン泣きしているぶー子がいた。
「もうイヤだ」
「死にたい」
「うああああ」
ロレツの回らない声でしゃくりあげながらコトの顛末を話し出したが、まぁ誰しもいつか経験するような類の悲劇である。
みんな、イヤだ死にたいと号泣して大人になっていくのだ。
ぶー子よ、泣け、絶望せよ、そして立ち向かい、乗り越えるのだ。
仕方なく私はダンナと二人で飲み始めたが、トイレに行こうとリビングを出ると、「うあああああああ」と上の部屋からまだぶー子が絶叫している声が聞こえてきた。
私は親である。
ぶー子は私が腹を痛めて生んだひとり娘である。
こんな時はどうする?
私は酒とシュークリームを持って、再びぶー子の部屋に向かった。
ぶー子は酒は「美味しくない」と言って一口しか飲まず、その代わりシュークリームはバクバクと3個食べた。
泣いても食うんだな、と妙に感心したが、結局そのまま彼女はリビングに下りてくる事はなかった。
それが今朝になったらお祭りだぁEE:AE479EE:AEB86である。
果たしてぶー子を死の淵まで突き落としてお祭りまで持ち上げたヤツは、オトコである。
彼の指揮棒ひとつでぶー子は死に装束からハッピにまで、簡単に着替えることができてしまうのだ。
彼よ、その力でどうかぶー子が真面目に学校の勉強に取り組むように指揮してくれないものか。
まぁ若い頃とはこんなものなのだろうが、どうやら私もすっかり「親サイド」に成長していたようである。
喜ぶべきか、悲しむべきか。