人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

先立つ覚悟

娘ぶー子が来た。

歩いて数分の近所に住んでいるので、わざわざ来たという感覚ではない。用があったこともあるが、単に「来た」だけである。

こちらも特に準備なんかせず、普段通りの我が家に現れた。

「お、頑張ってるね。」

古本やゲームソフトの入ったダンボールを見て、ぶー子が言う。

バンバン見限って処分できる彼女には、捨てられない私がもどかしかったようである。

「うん、どうせもうすぐ死ぬと思ったら、とっておいても仕方がないと思うようになった。」

何となく勝手に、もうすぐ死ぬような気持になっているこの頃であったが、考えてみれば、誰だってもうすぐ死ぬのだ。1年後だって、10年後だって、ある意味もうすぐである。人生なんて、あっという間に終わってしまう。いつだって誰だって、もうすぐ死ぬのだ。そういう意味では、間違っていないだろう。

「え、お母さん、それなら、・・・・・・。」

ちょっと上ずったような声で、ぶー子が慌てたように被せて来た。

しまった、娘の前で死ぬとか言うのはまずかったか。そんな深刻な意味合いはなかったんだが。

ぶー子も今年で、29歳になる。

近所とはいえ別の世帯となり独り立ちはしているが、いきなり親の口から「もうすぐ死ぬ」などと聞かされても、受け入れがたいものだろう。

メンヘラ気質で、これまでも散々心配をかけてきた。

違うのだ、これはそういう言葉通りの意味ではなく、

「それなら早くPS4買ってもらいなEE:AEB30

え?

「もうすぐ死んじゃうんでしょEE:AEB2Fだったらそんな古いどうでもいいゲームなんてやめなEE:AE482やりたいゲームやらないで死んでもいいのEE:AEB2F

げ、ゲーム・・・。

確かにまぁ、・・・。

いやEE:AE482

「ちょっと待ってEE:AEB30そりゃPS4もやりたいけど、今やってるゲームだってどうでもいい訳じゃないんだってEE:AEB30どのソフトもやりたくて買って来たんだよEE:AEB30今やってる『アンチャーテッド』はね、シリーズの2なんだけど、凄く評判のいいゲームでね。シリーズで買ったのよ。この1の操作性がね、(以下略)」

この親にして、この子あり。

ぶー子も私も、何も心配はいらない。

PS4で遊ぶまでは、死なないぞ。