人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

さらば、魔の月曜

平和が訪れたぽ子家であるが、それでも週末は飲みまくり、月曜に後悔する、そんなサイクルは変らない。

ぶー子が荒れようがいい子になろうが、安定した酒量を保ち続けるぽ子であった。

昨日はおやつの時間から飲み始めたので、夜にはもう飲み過ぎてゲンナリだ。

しかし昼に食べたラーメンは消化され、アルコールの分解に要するエネルギー不足のため猛烈に腹が減ってきた。

ところが買い物に行くという事は、酒が飲めない時間ができるという事だ。

スーパーはすぐ近くにあるが、短く見積もっても20分、酒が切れるのだ。

これは1日目の酒なら20分ぐらい影響はないが、3日目、二日酔いの酒である。

長い経験で分かった事だが、こういう日の酒は絶やすと覚めやすいのだ。

私は炭酸水の入っていたボトルにワインを入れ、それをバッグに入れるとつばの付いた帽子を目深に被り、メガネをかけてスーパーに向かった。

支払いはカードなので、財布すら持たない。

持ち物はワインのみである。

スーパーの入り口でギューッと二口ほど飲む。ほとんどアル中だ。

後ろに警備員が付いてそいつも足を止めたが、さすが、怪しい人間を見つけ出すプロである。

しかし私は入り口で酒を飲んだだけだ。

悪びれずに堂々と店に入る。中でも飲んでやるからな、警備員よ。

アンタは私の後ろで、アル中と万引きの因果関係を考えているが良い。徒労に終わるだろうが。

半額のカツオとでかい鶏の唐揚げ、焼くだけのガーリックチキンを購入。

これでは子供の買い物みたいなので、サラダを買って体裁を整える。

そうだ、明日の朝のために、惣菜パンを買っておこう。

月曜だ、どうせ起きれまい。

逆にこれさえあれば起きなくてもいいのだ。

酒を絶やさずにいた甲斐があって、テンションはいいところをキープし続けていた。

こう言う時には奇跡が起こる。

機嫌も良く、やる気がみなぎるハイ・エナジー。

ぽ子はテーブルの片づけを始め、買って来たかつおを「漬け」にした。

チキンを焼き、米を研ぐ。

流しにたまった皿と鍋も洗った。

娘ぶー子はいないし、ダンナはとっくに果てて寝ていた。

頑張ったので私もそろそろ眠くなった。

ダンナが起きてくるのと入れ違いに、漬け丼を作ってベッドに入った。11時。

早く寝たからと言って気持ち良く起きれる訳ではないのが月曜日だ。

飲み過ぎた翌日は抑鬱状態になりやすいという話を聞いた事があるが、禿同。正しい日本語で、激しく同意である。

もう地獄だ。

目はちゃんと覚めているが、脳味噌をぞうきんのように絞られているような、粗いヤスリでゴリゴリしごかれているような苦痛がある。

頭痛、吐き気。

念のため、二日酔いのそれとは全く別物である。

しかし今朝は、いい発見をした。

脳味噌いじめられてヒーヒー言っていたのだが、目を開けた先に、エルが寝ていた。

エルちゃんである。

脳味噌絞られた次の瞬間に、エルちゃんが目に入って来たのだ。

これだっ!!わかったぞっ!!

苦痛は目を閉じている間だけである。

目を開ければやつらは来ない。

しかもエルちゃんがいれば癒し効果が加わり、怖いものなしである。

日曜は早目に布団に入り、充分な睡眠をとる。

寝覚めに脳味噌をいじられたら、すぐに目を開ける事である。

その先にエルがいれば完璧だ。

もう月曜の朝も怖くないぞ。

で、起きたのは10時半である。

癒され効果でグッスリ眠ったぽ子だった。

さて、起きてキッチンに行き、まさかと思ってレンジを開けてみたらそのまさかであった。

ぶー子はパンを食べてなかったのだ。

言わなかった私も悪いが、彼女は甘いものは目ざとく見つけて断りもなく食べるのだ。

まさかこれを見つけないとは思わなかったが、糖分の違いだけでこんなにも鈍くなるのか、ぶー子は。

こうなると私の昼ご飯は断然この惣菜パンになるのがスジだが、飲み過ぎたのだ。パンなど無理である。

私はいつもの「サッポロ一番みそラーメンぽ子スペシャルキムチなし」を汁まで飲み干し、腹が膨れて案の定眠くなり、出勤準備にとりかかるまでの10分を寝た。

仕事から帰ったら惣菜パンを食べた。

残るといけないから、ぶー子に帰ってきたら食べるようにメールしてあったのだが、我慢できなかった。

まだ1個残っているが、これももう食べたくて仕方がない。

というかもう食べるつもりだ。

昨日は飲み過ぎたのだ。

疲れた肝臓にエネルギー補給である。