ぽ子の夏休みである。
結局何の予定もないまま迎えたが、なきゃないで昼から飲んでやろう、ぐらいには思っていた。
そのためには午前中にやるべき事をしっかりやっておく。
掃除と洗濯と晩ご飯の支度だ。
しかし、起きるところから間違っていた。
私はソファで寝ていたのだ。
何でだ?
そうだ、昨日夜中にK-1観てるうちに寝ちゃったんだ。
観たかったマイティ・モーとステファン・レコの試合の途中で力尽きた。
しょうもない下っ端の予選にしょうもない突っ込みを入れただけの観戦になってしまった。
朝ご飯・・・?
何も考えてなかった。
炊飯器には茶色いご飯。冷凍のパン、なかったっけ?
「今日はもう朝ご飯いいよ・・・。」とダンナ。
・・・そう?・・・助かった・・・。そのままソファに倒れこむ。
「もういいよ」のもうが痛い。
そのままソファで寝ていたが、エルが隣の和室の布団で寝てる事を思い出した。
私は移動し、敷きっぱなしの布団にエルと寝る。
9時に娘ぶー子が起きてくる。
げ、まだ眠いんですけど。
しかしバッチリ目が合った。
「エル、かわいいでしょ、ウフフ。」
9時に起きろと普段怒りまくっているので、自分が布団にいるとはバツが悪い。
「エル、起こしたらかわいそうだから、まだ寝てていいよ。」
ところがぶー子はこう言った。
まじ?じゃ、遠慮なく。
許可を頂いた的な形が不本意だが。
しかし理由はすぐにわかった。
しばらくして起きてみたら、ぶー子もソファで寝ていたのだ。
それを見て私もまた横になる。
恐らく寝ている私を見ればぶー子もまた寝ることだろう。
!!しまった!!
今日こそ猫の薬をもらいに病院に行かなくてはならないのだった。
12時までに行かないと、午後の部は4時からになってしまう。
午前を逃すと、4時に病院行って帰るまで酒が飲めないではないか。
11時であった。
自転車はこの間酔っ払って駅前に置きっぱなしだから、バスだ。
時間がない。
病院に電話して膀胱炎のミの病状と、おしっこを取り損なっていることを話した。
ラに続いて姉妹猫のミも膀胱炎になってしまった。
原因を特定するためにおしっこを持って行かなくてはならないが、それが凄く難しいのだ。
ラの時はトイレにはいるとお尻を浮かせてくれたので、すかさず適当なプラ容器を差し込んで難なく取った。
しかしミはお尻をピッタリ下につけてしまうので、何かをその間に入れることは無理だ。
そこで私はサランラップを敷いた。
ミはいつも同じ場所でするのだ。
前回はこれで成功したが、最近病状が良くなってきて、なかなかトイレにいく現場を押さえられないのだ。
今朝はラップに黄色い液体がたまっていたが、現場を見てないから絶対にミだとは言い切れない。
結局1週間、おしっこは取れなかった。
でも薬はなくなったから病院には行かなくてはならない。
おしっこも猫もなしで薬だけもらえないか?と電話すると、折り返し担当の医師が電話しますとのこと。
この電話が遅く、結局家を出たのは11時半だ。
外に出ると灼熱地獄であった。
くっそー、もっと午前の早い時間に行こうと思ってたのに。
このあと駅前の自転車置き場に置きっぱの自転車に乗って帰らなくてはならない。
帰りに駅前のマックに寄る。
広告に入っていたクーポン券を使ったが、「これはもう日にちが過ぎてますので。」と1枚返された。
12日までとなっていた。
ええっ?今日ってもう12日過ぎてるの??
クーポン見ながら12日ならまだまだ先だと思ったのだが。
家に帰ると、暑くてたまらないのでカクテルバーのモスコミュールを飲んだ。
マック食べながらカクテル缶飲んでぶー子とゲームやったが、今度はもう眠くて仕方がない。
「・・・眠くないの?」とぶー子に聞くと、「眠いよ。」と言う。
「今、何%眠い?」と聞くと「78%。」と答えた。あと1歩だ。
90%と言わせるまでに、テトリスを3回、クラッシュバンディクーカーニバルを3回だ。
時間にして30分ぐらいか。
じゃあ寝よう、と、隣の和室の万年床にふたりで横になる。
あっという間に眠りにひきずり込まれたが、「あっはっは~!!」と言うぶー子の爆笑で起こされた。なんだよッ!!うるせえな!!
「おかーさん、今、寝ゲップしたよ!!」と笑っている。
その後もどんな様子だったかとゲラゲラ笑いながら言ってきたが、こっちは眠いのだ。もう100%は超えている。
「寝ゲップぐらいでガタガタいわないでよ、寝ッペでそんだけ笑えっつの。」
辛うじてそれだけ言って再び眠る。
4時にぶー子の携帯が鳴った。
目覚ましに曲が流れるのだが、クソうるさいHIPHOPだ。
ほんっとうに信じられないほどうるさい曲だった。
何度か流れたが、「止めるかあっちに行くかして!!」と思わず言ってしまった。
パンクとかハードロックとか、そう言ううるささではない。
くそ騒がしいのだ。バカ騒ぎだ。ヒップホップめ。
その後には隣の部屋からでかい音で、「幻想水滸伝Ⅳ」が始まる音がした。
ぽ子はもっと寝る。
ぶー子のイタリア語のレッスンに送りに出るまで寝る。
6時半に送り出す。
帰りに仕事帰りのダンナを拾っていく。
ついでにダンナの自転車も車に積んでいく。
ついでに猫のご飯を買いに行くが、そのまたついでにつまみでも買おうという事になった。
時間は7時半。
食材が半額になっていく時間である。
「刺身まわり?惣菜まわり?」コースの確認。
「刺身まわり惣菜行きだ。」
カートをひいて店に入るが、刺身に行けば惣菜が気になる、惣菜に行けば刺身が気になる。
こっち見てる間にあっちが売れてしまう!!
「ふた手に別れよう。」「ラジャー。」
私は惣菜に走る。今日1番輝いてる時だ。こんなに早く歩けるんだ、ぽ子。
結局晩ご飯は作らず、全て惣菜だ。
まぁ惣菜じゃなかったらラーメンだったけど。
9時にぶー子を今度は迎えに行く。
行くと彼女は、講師のイタリアン、マリオ氏と現れた。初対面だ。
イケメンである。
「はじめまして。」と右手を差し出してきた。日本にはない習慣である。
私も挨拶をしつつ握手をしたが、日米首脳会談のようだ。
会えるとわかっていたならもっとちゃんとした服を着て化粧もして行ったのに、と悔やんだが、「ブログ、見てます。」と言われ、あぁそれじゃ今さら気取っても無駄だと知った。
彼は「チャオ。」と軽く手を挙げて帰って行った。
なんてスマートなんだろう。
普段の私の別れの挨拶、「んじゃねー、バイバーイ!!」って何なんだ??
家に帰ったら本格的に飲み始めた。
こうなったら朝まででも飲むつもりだが、一向に酒が回る気配がない。
だったらもう寝て明日昼に本気だすか・・・と迷っているところだ。