人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

早朝のディズニー・ワールド

め‐ざまし【目覚まし】

《「めさまし」とも》

1 目を覚ますこと。また、目を覚まさせるもの。眠気ざまし。「―に濃いお茶を飲む」

2 目を覚ましたとき子供に与える菓子の類。おめざ。

3 「目覚まし時計」の略。「―を掛け忘れる」

2週間ほど前からだっただろうか。娘ぶー子が私が寝ている寝室で一緒に寝るようになった。

怖い話を聞いて怖くなり、一人で寝たくない、との事だ。

ぶー子はベッドとタンスの細い隙間に、強引に布団を敷いた 。

良くこんなところで寝れるなと思ったが、まだ元に戻る気配はない。

確かおとといの夜にも怖い話を仕入れてきたらしいから、ここを出るのは当分先になるだろう。

今日は8時45分に起きる予定であった。ぽ子の休日としては早起きである。

寝た時間が遅かったからギリギリまで寝ていたかったのだが、目覚まし時計のアラームより早く、ディズニーのパレードの曲が流れてきた。

私はバチッと目を覚ましてしまった。

言った通りになったからだ。

ぶー子は7時に起きると言っていた。彼女の携帯の目覚しが鳴っているのだ。

嫌な予感はしていた。

案の定ぶー子の目覚しは起こすべき人間を起こさず、寝かせておくべき人間を起こしたのだ。

こうならないために、私だけが起きるような事にはならないようにキツく言ってはあったのだが。

しかしそれでも、始めのうちはぶー子も急いで曲を消していた。

始めのうち、と言うのはその後も何度も何度も5分おきにパレードが始まったからだが、ぶー子の方も何度も繰り返しているうちに気が緩むのか慣れるのか、そのうち反応が鈍くなってくる。

起きるか目覚しを止めるかして欲しいのだが。

私もすぐに言えば良かったのかもしれないが、ここで声を出してしまうと本格的に自分の目が覚めてしまいそうで出来なかった。

起きろよぶー子。しかし怒りでますます目が冴えてくる。

チャンチャラランラン、チャンチャラチャラララ♪

何度目かのそれが能天気に流れてきた時、ついに「ちょっともう消してくんない!?」と言った。

しかし返事はない。

もう一度言うべきか迷ったが、もう私はギリギリ覚醒の手前まで来てしまっているのだ。

あと一言でも声を発したら、すっかり目が覚めてしまう。

それに、ぶー子は寝ていると、聞こえていても返事をしない事が多い。

よし、1回だけチャンスをやろう。

もう1回、そのバカみてぇなネズミの曲を流してみやがれ。

華やかにキレてやる。

しばらく沈黙が流れた。

ぶー子に私の声は届いたのか?届かなかったのか??

結果は次のスヌーズ、恐らく5分後だろうが、5分ってどれぐらいだ??

私は眠いのだ。

目を覚ましたくないのだ。

ここで時計を見て確かめる気になどならないが、自分は寝ぼけているので時間の感覚がわからない。

まだか・・・。

まだか・・・。

鳴るか・・・?

鳴らないのか・・・?

緊張してきた。

コンコンと小さなノックの音が聞こえ、ダンナとエルが入ってきて目が覚めた。

横を見るともうぶー子はいない。

私の目覚しが鳴る寸前だった。

結局あの後、いつ私はまた寝ちゃったんだ?

ぶー子はいつ起きたんだ??

結果的にまた寝れはしたが、こういう寝かたは良くない。

ぶー子の目覚しが鳴ってからは、寝たとは言えないのだ、気分的に。

寝不足だ。

明日も朝早いとぶー子は言っていたが、その時間によってはぶー子の部屋に戻ってオバケと一緒に寝てもらおうと思う。