「ぽ子さん、この間着てたあの服・・・。」
職場で仕事中だ。
簡単な手作業なので、どうしても口の方も良く動いてしまう。
で、あの服とは、先週の木曜日の午後に来ていた服の事であった。
仕事場から直接歯医者に行く事になり、昼休みに家に戻って着替えてきたのだ。
よそいきとまでは言わないが、Tシャツジーパンは嫌だったのだ、歯医者。
その服は襟が2重になっていて、フチにワイヤーが入っている。
胸元が大きく開いており、上から作業着を着る段階になって困ってしまった。
上のほうのボタンが締まらないのだ。
仕方なく上のボタンを2つ開け、中からそのデカい2枚の襟を立たせて出した。
変な格好である。
「その格好・・・。」案の定、みんながニヤニヤとこっちをみた。
「コスプレみたいだ。」ハイ、FF8のイデア状態です。
この服はもう職場には着て来れない。
で、冒頭の「「ぽ子さん、この間着てたあの服・・・。」だが、あの服とはこの服のことで、彼女はこう続けた。
「あの服、すごく高かったでしょ。私、見たよ。」
え?
「何?どんな服??」
あの服を見てない周りのみんなは興味津々である。
「え、安かったですよ、私、高い服なんて買いません。」
本当なのだ。
私は高い服など買わないし、実際あの服は安かった。
「ええ~~!?5千いくらとか書いてあったよ。それでも値引きしてあったから、本当はもっと高かったはずだよ。」
本当じゃありません。それはどこか間違ってます。
だって、私、あの服・・・。
「そんなはずないよ、ペナペナの安い服だし・・・。」
「私もあんなに高いとは思わなかったけど、でも値札に書いてあったよ!!」
「だって私、あの服、・・・・・・・400円で・・・。」
「よ、400円・・・。」
周りは爆笑である。
「しかも『難あり品』です・・・。」
さらに笑わせてしまった。
最初から400円の服だとわかっていれば、「お買い得だね」で済んだものを、5千円だとか高いだとか言うから、何だか恥ずかしい結果になってしまった。
安くなければ服ではない。
靴もアクセサリーも然り。
ファッションセンターしまむらをナメんなよ。
ちなみにあの服はしまむら出身ではなく、難あり品ばかりを取り揃えたもっと安い店で買った。
誇らしく思っていたのだが。
5千円の服を買うぐらいなら、400円の難あり品を買い、残った金でラーメン7杯食べる方が幸せなのだ。
明日も歯医者だ。
Tシャツジーパンではないが、安い服を着て行く予定だ。