人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ペナペナ・ヒラヒラ

雨だ。

不覚にも喜んでしまった。

車で買い物に連れて行って欲しかったのだ。

来週は、会社の30周年記念パーティがある。

社長・専務が割とイベント事が好きなようで、年に何度かバーベキューだの飲み会だの催されるが、今回はちょっと格が違う。らしい。

まず、場所が新宿の住友ビル内の夜景が見える中華レストランである。

バーミヤンではない。

格調高き中華レストランである。ドリンクバーなどないぞ。多分。

「何、着て行く??」

女性陣は、当然そこに行き着く訳だ。

パーティなのだ。飲み会ではない。

自分だけ浮いてしまわないように、周りと足並みを揃えたい。

これが約1名を除いた、全女性従業員の意見である。

「パーティドレスになるの?」

困った顔をしながら、みんな結構満更でもない様子だ。

ドレスなんて、なかなか着れるものではない。

しかし女というものは、チャンスがあれば着飾りたい動物なのだ。

「会社のパーティ」という不可抗力ならば、ドレスを買う事ができる。

「ニッセンにドレスが・・・。」

ニッセンと言うのは、通販界の「ファッションセンターしまむら」である。

つまり、安い。

バリエーションも豊富だ。

しまった、ニッセンのドレス、私も狙っていたのだ。

しかし、みんなニッセンのドレス狙いであった。

こうなったら注文する服が決まったら、ダブらないように速やかに報告だ。

掲示板か?回覧か?

冗談とも本気ともつかない話が出ていたが、結局ドレスの必要はなくなった。

「中華だから、普段着でいいわよ。」

専務があっさりそう言ったのだ。

ちょっとガッカリ。

ぽ子はドレスを着たことがないのだ。

もうニッセンのドレスのページも見てしまった。

「何でもいいっつったの?専務。じゃあジーパンで行く。」

ひとり足並みを揃える気のないジャジャマキは、そう言い放った。

彼女は、シャレた外出着を持っていないという事もあるだろうが、着飾るのも嫌いだし、みんなで右へならえという性質も嫌悪しているのだ。

「いくら普段着でいいって専務が言っても、これは30周年記念のパーティだし、さすがにジーパンは・・・。」というのが、女性らの意見である。

私もそう思う。

専務がどう言った云々ではない。常識だ。

記念パーティという特別な席を設けてくれた社長専務に対する、礼儀である。

そして、追い討ちをかけるように、お局的ポジションにいるおっかない上司が、

「基本的には何でもいいんだろうけど、すっごいミニスカートだとか、仕事に着てくるジーパンとかはねぇ。」と言った。

「そりゃ、人によっては何万円のジーパンでこれがおしゃれ着ですって言われたら、それはそれだけどねぇ。」

「まぁでもわざわざ買うことはないわよねぇ。」

つまり、ジーパンはダメ、露出度の高い服もダメ、遠回しにそう言っているのだ。

しかしジャジャマキは「わざわざ買わなくていい」「ジーパンでも本人がいいのならいい」その部分に固執し、「私はジーパンで行く。」と頑ななまでに言い続けた。

そもそもジャジャは、パート仲間の奥様を毛嫌いしている。

だから従いたくない気持ちもあるのだろう。

私達は「ちょっとおしゃれしてくる」という事で落ち着いたが。

しかし、それはそれで困った事になった。

スーツは着ない、でも普段着ではない。

そんな中途半端な服など、私のクローゼットにはない。

なので昨日、所沢で時間をつぶした時に洋服屋をみたのだが、それが、安い(笑)

ROMIOにJAMPIXY、やりおるの巻だ。

あれもこれも欲しいでウハウハしてしまい、ニーズに合った服を選ぶどころではなかった。

私は勢いで1000円の服と700円の服を買ったが、本命は今日改めて娘ぶー子を連れて買いに来る事にした。

恥ずかしながら、正しいコーディネートで選ぶ自信がなかったのだ。

ちなみにその安い2着はこれだが、

上のペラペラの方が1000円であった。逆に見えると思うが(笑)

下のシャツが700円だったのだが、手にとってみたら、あり得ないほどペナペナであった。

こんなに薄い生地を作るのには、かえって技術が要りそうなものだが。

で今日は、ヒラヒラの洋服を買い込んでしまった。

ヒラヒラは嫌いだったのだが、こうして店の中でヒラヒラに囲まれていると、新興宗教の洗脳の如く、それが良く見えてくるから不思議だ。

見立ててくれたお礼にぶー子にも買ってあげると言ったのだが、彼女は「服じゃなくちゃだめ?」と上目遣いにこちらを見た。

や、別にお礼なんだからあんたが欲しいものでいいけど。

「デトロイト・メタル・シティ」・・・・・・・。

まぁいいですよ、それが欲しいのなら。

しかし親としては、こんな少年漫画を読むよりおしゃれをして欲しいものである。