雨だ。
不覚にも喜んでしまった。
車で買い物に連れて行って欲しかったのだ。
来週は、会社の30周年記念パーティがある。
社長・専務が割とイベント事が好きなようで、年に何度かバーベキューだの飲み会だの催されるが、今回はちょっと格が違う。らしい。
まず、場所が新宿の住友ビル内の夜景が見える中華レストランである。
バーミヤンではない。
格調高き中華レストランである。ドリンクバーなどないぞ。多分。
「何、着て行く??」
女性陣は、当然そこに行き着く訳だ。
パーティなのだ。飲み会ではない。
自分だけ浮いてしまわないように、周りと足並みを揃えたい。
これが約1名を除いた、全女性従業員の意見である。
「パーティドレスになるの?」
困った顔をしながら、みんな結構満更でもない様子だ。
ドレスなんて、なかなか着れるものではない。
しかし女というものは、チャンスがあれば着飾りたい動物なのだ。
「会社のパーティ」という不可抗力ならば、ドレスを買う事ができる。
「ニッセンにドレスが・・・。」
ニッセンと言うのは、通販界の「ファッションセンターしまむら」である。
つまり、安い。
バリエーションも豊富だ。
しまった、ニッセンのドレス、私も狙っていたのだ。
しかし、みんなニッセンのドレス狙いであった。
こうなったら注文する服が決まったら、ダブらないように速やかに報告だ。
掲示板か?回覧か?
冗談とも本気ともつかない話が出ていたが、結局ドレスの必要はなくなった。
「中華だから、普段着でいいわよ。」
専務があっさりそう言ったのだ。
ちょっとガッカリ。
ぽ子はドレスを着たことがないのだ。
もうニッセンのドレスのページも見てしまった。
「何でもいいっつったの?専務。じゃあジーパンで行く。」
ひとり足並みを揃える気のないジャジャマキは、そう言い放った。
彼女は、シャレた外出着を持っていないという事もあるだろうが、着飾るのも嫌いだし、みんなで右へならえという性質も嫌悪しているのだ。
「いくら普段着でいいって専務が言っても、これは30周年記念のパーティだし、さすがにジーパンは・・・。」というのが、女性らの意見である。
私もそう思う。
専務がどう言った云々ではない。常識だ。
記念パーティという特別な席を設けてくれた社長専務に対する、礼儀である。
そして、追い討ちをかけるように、お局的ポジションにいるおっかない上司が、
「基本的には何でもいいんだろうけど、すっごいミニスカートだとか、仕事に着てくるジーパンとかはねぇ。」と言った。
「そりゃ、人によっては何万円のジーパンでこれがおしゃれ着ですって言われたら、それはそれだけどねぇ。」
「まぁでもわざわざ買うことはないわよねぇ。」
つまり、ジーパンはダメ、露出度の高い服もダメ、遠回しにそう言っているのだ。
しかしジャジャマキは「わざわざ買わなくていい」「ジーパンでも本人がいいのならいい」その部分に固執し、「私はジーパンで行く。」と頑ななまでに言い続けた。
そもそもジャジャは、パート仲間の奥様を毛嫌いしている。
だから従いたくない気持ちもあるのだろう。
私達は「ちょっとおしゃれしてくる」という事で落ち着いたが。
しかし、それはそれで困った事になった。
スーツは着ない、でも普段着ではない。
そんな中途半端な服など、私のクローゼットにはない。
なので昨日、所沢で時間をつぶした時に洋服屋をみたのだが、それが、安い(笑)
ROMIOにJAMPIXY、やりおるの巻だ。
あれもこれも欲しいでウハウハしてしまい、ニーズに合った服を選ぶどころではなかった。
私は勢いで1000円の服と700円の服を買ったが、本命は今日改めて娘ぶー子を連れて買いに来る事にした。
恥ずかしながら、正しいコーディネートで選ぶ自信がなかったのだ。
ちなみにその安い2着はこれだが、
上のペラペラの方が1000円であった。逆に見えると思うが(笑)
下のシャツが700円だったのだが、手にとってみたら、あり得ないほどペナペナであった。
こんなに薄い生地を作るのには、かえって技術が要りそうなものだが。
で今日は、ヒラヒラの洋服を買い込んでしまった。
ヒラヒラは嫌いだったのだが、こうして店の中でヒラヒラに囲まれていると、新興宗教の洗脳の如く、それが良く見えてくるから不思議だ。
見立ててくれたお礼にぶー子にも買ってあげると言ったのだが、彼女は「服じゃなくちゃだめ?」と上目遣いにこちらを見た。
や、別にお礼なんだからあんたが欲しいものでいいけど。
「デトロイト・メタル・シティ」・・・・・・・。
まぁいいですよ、それが欲しいのなら。
しかし親としては、こんな少年漫画を読むよりおしゃれをして欲しいものである。