掃除だ。
年末の大掃除はしなくても、九州が来るなら大掃除である。
九州というのはダンナの両親のことだ。
週末に九州からやってくる。
ダンナのお母さんはとてもきちんとした人で、住んでるマンションなどホテル並みにきれいにしている。
こういう人は、普通にきれいなだけではきれいと感じてはくれないだろう。
つまり、今来られると「ゴミ屋敷」と認識してしまう可能性がある。
しかし大掃除とは言っても、部分的に、という意味が含まれている。
見えるところだけきれいになっていればいいのだ。
つまり、本当の意味での「大掃除」というものは、我が家に存在しない。
風呂とトイレと玄関は必須だが、これはきれいにした後、彼らが来る前にまた汚れてしまう可能性大だ。
だからこれらはギリギリの金曜か土曜にとっておく。トリだ。
彼らが寝ることになる和室は、現在ダンナの寝室になっている。
娘ぶー子がお祭りのクジで1等をとってもらってきた、バカでかい、本当にバカでかいプーさんのぬいぐるみが置いてあるが、
「ちょっとこれ・・・。」と毎度おかあさんに嫌な顔をされている。
わかりましたよ、移動はしますが捨てませんよ、絶対。
モノトーン調にまとめた音楽室に、黄色いデブでトロい熊のプー、移動決定。
リビングの窓。
彼らは早起きである。
どんなに飲んでもちゃんと7時には起きている。
そしてまず窓を開け放つ。
一般的な爽やかな朝の光景であるが、つまりここも大掃除ポイントだ。
窓ガラスはガラスクリーナーで呆気なくきれいになるが、下の桟の部分がひどく汚れていた。
前にも猫がゲロを吐いて掃除をしたあのポイントだが、猫の毛がたまり、結露によって黒い汚れがこびりつき、近くにある猫のトイレからの砂もたまってた。
そしてこの窓辺の部分には、10cmほどの幅で人工芝が敷いてある。
ここにも猫の毛とか色んなカスが詰まっていた。
これはエルの粗相防止策だったのだが、じつはエルのトイレ事情は非常に良くなっている。
ストラバイトの治療を始めたら治ったのだ。原因はそこにあったのだろう。
だったらこの人工芝ももういらない。
この他に芝ポイントはあと4ヶ所あるが、急にきれいに元に戻ったらエルが、床におしっこをした楽しかった時代を思い出すといけないから、少しずつ撤去することにしよう。
窓ガラスを拭いたら、今度は網戸の汚れが気になってきた。
そうだった、この間彼らが来た時も、網戸の掃除したんだっけ。
九州が来ないとやらない事、多いんだなぁ。
たまに来てもらわないと、家がきれいにならないぞ。
逆を言えば、九州が来る限り年末の大掃除はしないだろう。
しかし、前回の網戸掃除を思い出してみたら、ゲンナリしてしまった。
網戸に新聞紙を貼って、掃除機でゴミを吸うのだ。めんどくせ~。
あれでも色々調べて一番楽な方法をとったはずだが。
つまりあれ以上楽はできないのか??
私は網戸をガコガコッとはずし、庭でシャワーをかけ、かるくブラシでこすった。
こっちの方が全然簡単じゃないか。
ところが外した網戸がもとに戻らない。
しまいにはガンガン殴ったが、GOD、網戸の水が、拭いたばかりの窓にはねている。
こうなると完全にもうやる気が失せる。
網戸は上の部分だけレールにひっかけ、下は最後のパンチで押し込んだ。
レールにははまっていないから、開け閉めしようとしたら外れるはずだ。
誰か早くひっかかれ。そして直すのだ。
あっという間に午前が終わった。
晩ご飯の下ごしらえをしなくてはならないが、大根がなくなっていた。
そうだ、半端に残してもしょうがないと思って、昨日強引に使い切ったんだった。
1品キャンセル。嬉しいのは何で?
しかし、仕事が終わって帰ってきたら、嬉しくなくなっていた。
腹減った・・・。
食べたかったなぁ、大根と人参の漬け物。
「おかあさん、賞味期限はおいしく食べれる期限で、消費期限はこの日までしか食べられないってことだよね?」
唐突にぶー子が聞いてきた。
どちらも正しいが、正しくもない。
「別にどっちも期限が切れても、余裕で食べれるよ。」
私はまじめに答えた。ほぼ毎日食べてるじゃないか。
しかしこの質問は、家庭科のテストの問題であった。
賞味期限について、歪んだ常識を矯正する時が来たようだ。
そして彼女は、冷蔵庫にあった消費期限の過ぎたサラダを食べなかった。
こうして自分の価値観を築いて行くのだろう。
まぁいいや、私の食いぶちが増えるだけだ。
明日は冷蔵庫の掃除をする事になるだろう。
今から恐ろしい。