人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

課長とジャジャマキ

あんまりネタにしては悪いと思い控えていたが、今日も非常に平均的な平日だったのでネタ切れ状態である。

強引に書けばエルのうんこ日記にぐらいにしかなりそうもないので、課長とジャジャマキにご登場いただく。

課長のことは過去に何度か書いたが、おっとりとした雰囲気のマイペースの男性だ・・・とずっと思っていたが、突然はしゃぎ出したりおかしな事を言い出したりするのでいまだにその像をつかんでいない。

確か今年で28歳だったか、まだ若き課長である。

いつもは事務所にいる課長が、この頃仕事の関係で良くこっちの部屋に来るようになった。

今日は私の隣で仕事をしていたが、やはり課長がいると雰囲気が引き締まり、みんな静かに作業をしていた。

作業をしている課長の表情はちょっと厳しく、これはそういう性格なのだろうが、話し掛けてもなかなか返事をしてくれなかったりするので、ぶっちゃけ仕事中の課長は怖い。

だから私もまじめに粗相のないように頑張る。

静かである。

ラジオのNACK5から、DJがリスナーのメールを読む声だけが聞こえていた。

カニの話をしていたようだが、あまり真面目に聞いていなかったからそれがどうしたのかはわからない。

その時突然後ろから課長が

「カニですってよ、ぽ子さん!!」と思いがけず明るい声で言った。笑顔である。

カニ!?カニですってよ!?

さっきまでの課長とのギャップが激しく、爆笑してしまった。

カニがどうしたのかは知らん。

私が一瞬前に見た課長は、難しい顔をして机に向かっていたのだ。

怒ってるのかと思うぐらいであった。

それが次の瞬間に何の前触れもなく「カニですってよ!!」である。

今度はミーティングの時の話である。

ミーティングとなると部署の8人が集まり、テーブルを囲む。

課長は資料を手に話を進めていくのだが、ここでも厳粛に話し合いがなされていく。

仕事が終われば一緒に飲みに行ったりする仲間もいるが、これは仕事である。

みんな真面目に話をする。

「・・・で、前もって話してあったと思いますが、どなたか何か案はありませんでしょうか?」

課長がみんなを仰ぐ。

ちなみに私は前もって聞いていなかったので、案などなかった。

だから目が合わないように下を向いていたのだが、全員黙って下を向いてしまった。

誰も何も言わない。完全な沈黙である。

先にも書いたが、仕事が終われば一緒に飲みに行ったり遊びに行ったりする人もいるのだ。

簡単にいうと、「友達」の部分もあるのだ。

私だって課長は面白いから好きだし、一緒に飲めばふざけたりもする。

しかし皆、目をそらし、無言である。

課長が静かに話し出す。

「・・・昔まだ小学生ぐらいの頃だったか、良くこんなような場面がありましたけど、まさかこっちの立場になる日が来るとは思いませんでした。」

皆、爆笑である。

しかし案は出なかったが。

この頃課長がこっちの部屋でしている仕事は、私がやる時もある。

この仕事は上司アンガからではなく課長からダイレクトに来るので、不具合があると課長からの指示を仰ぐことになる。

この仕事を「シーリング」と言っているが、何をもってシーリングなのかはわからない。

うまく説明できないので、歯ブラシと歯磨き粉で例える。

簡単に言うと、機械で歯磨き粉を歯ブラシに搾り出すのだが、この位置を設定したり歯磨き粉に異常がないかチェックしたりするのが仕事だ。

そして歯磨き粉の高さには基準値があり、一つ一つ高さを測っていく。

歯磨き粉などと言うと緊張感がないが、これはパソコンの一部である。

1mmの千分の一まで測れる機械で測り、基準を外れたものはやり直しだ。

しかしやり直すには乾くまで一晩待ち、しぶとくくっついたコイツをゴリゴリ剥がさなくてはならない。

できるだけ不良は出したくない。

「0.402・・・。」

0.002ばかり超えた。

しかしこんなもの、測る場所を変えればこれっぽっち、超えたり超えなかったりするのだ。

ちょうど課長が側にいたから聞いてみたが、

「う~~~~~ん・・・・。」としばらく考え込んでから、

「これは微妙ですね・・・。」と言い、

「いや、たかが0.002ってことは・・・」と製品を持ち、おもむろに塗った部分に向かってフーフー息を吹きかけた。

ふ、風圧で~・・・。

さっきも書いたが、私は仕事中の課長が怖いのだ。

「う~ん。」や「微妙ですね」のあたりまでは、我が社の課長様、大上司様の課長だったのだ。

こんな調子なので、笑う場面ではいつも大爆笑である。

ところで「1mmの千分の一」と書いたが、実はこの数字の単位はいくつなのかは良くわからないし、0.002超えた製品がどうなったのかは忘れてしまった。

そんなものは課長のなすことに比べれば、どうでもいい事である。

たくさん書いてしまったので、ジャジャマキの話はまた今度。

課長、ネタにしてごめんなさい。

これでも今日まで我慢したんです。