人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

お掃除しました

またまた寝不足である。

ゲームと小説がおもしろくて止められず、つい時間を忘れてしまう。

後ろ髪引かれながら布団に入ると、小説に出てくる登場人物の名前がグルグル駆け巡る。

王妃マリー・アントワネットの最期がその弁護士によって語られる場面だったが、寝る前に読むには刺激が強かったか。

目を閉じると一面に緑の四角が現れる。

戦闘機のゲームにハマッているのだが、その照準である。

あぁ、今夜こそ早く寝なくては。

朝もかなり眠かったが、寝るわけにはいかなかった。

今日はぶー子が友達を連れてくると言っていた。

部屋を片付けなくては。

ぶー子の部屋が汚いのはぶー子の恥だから良いのだが、それ以外は私の恥である。

玄関、階段、廊下、あいつリビングに入るかな。バンド関係だから音楽室も。トイレもだよなぁ。どんだけ汚いんじゃい。

廊下と階段はクイックルでクイックリーに、玄関は掃除機で一網打尽、リビングには入室を拒むように洗濯物を干した。

さてと、問題はトイレと音楽室である。

2階のトイレには便座カバーがない。

洗濯したらもとに戻す方法がわからなくなり、それ以来丸裸である。

今度こそトイレのミニ観葉の水やりを忘れないと心に誓ったが、季節が変わりすっかり寒くなり、便座カバーのないトイレには冷たくて座りたくないのでずっと入っていなかった。

この中途半端なブランク。

観葉はヘタッているだろうか?

枯れていれば諦めもつくが、死を宣告された彼らの、死を待つだけの状態は辛い。

半殺しにしたのは私だが、私だって心ある人間だ。

・・・心ある人間は観葉を半殺しにも全殺しにもするまいが。

思い切ってドアを開けると、意外にも彼らは元気であった。

いや、何週間も放置したのだから元気なはずがない。

ガンに冒されていながら、まだ初期段階で気づいていないだけなのだ。

後で振り返って「あの時こうしてれば・・・。」と悔やむような時期である。

水をやった。

早く便座カバーを買わなくては、平成のアウシュビッツになってしまう。

次は音楽室だ。

ここは一番人が入らない部屋なので、何でも後回しにされている。

とりあえずのつもりで置いた物であふれている現状だ。

一番手をかけた部屋なのに、今や一番倉庫に近い部屋である。

石材を模した小さなカウンターの上には、ビートルズのファンクラブの会誌が積まれている。

未開封である。

16冊あったが、2ヶ月に1冊ということは、2年8ヶ月分が読まれずにカウンターの上なのである。

やはり石材を模したスツールにもビートルズのファンクラブの会誌が積まれていたが、こちらは開封されてある。

借金のように溜まっていく会誌を、追いたてられるようにダンナがこの音楽室で読んでいる姿が窺える。

ちなみに寝室にはフリーマガジンのL25が、トイレにはR25が似たような状態で溜まってきている。

しかし一応、音楽室にビートルズだ。違和感はない。

ところがもちろん、そればかりではないのだ。

ビートルズのカウンターには、ダンナや娘ぶ-子をビビらせるクラッカー、赤いリボンや梱包材、ハートのプラケースなど、パーティーグッズやラッピング関係の物も置いてあった。

私はケチなので、プレゼントをもらうとそれを包装していたもの大事にとっておいて、いつか使う。

それらでダンナやぶー子のプレゼントを包み、彼らが開けた側から回収していく事もある。

もしかしたら同じ包装を何度もしたかもしれないが、誰もいちいち覚えていないので助かっている。

そんな訳で、音楽室のクローゼットにはラッピング及びパーティやプレゼント関係のための収納ケースがあるが、常にいっぱいである。

衣替え同様、タダじゃ入らない所にものを入れる作業は苦痛だ。

よって放置されているのだ。

丸めたシーツもあった。

ここにあるということは洗って取り込んだ後のはずだが、長い間丸められて、もはや洗濯後とは思えない状態である

しかしたたんでクローゼットにしまった。

そういえば、寝室にも未使用なのに丸めたシーツがあったな。

猫のえさやり機、工具入れ、ブルーシート、保冷材、加湿器、梅酒。

行き先がわからないものは全部グルニエに入れてしまった。

まぁ何とか人が入って活動できるようにはなった。

後で灰皿が汚いままだった事を思い出したが、倉庫が音楽室に戻っただけでも良しとしよう。

で、あの梅酒、まだ飲めるのかなぁ??