人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

水曜日、夜、サウンドスクウェアにて。

急遽、リハになったのだ。

本来別のバンドのリハ予定だったところ都合が悪くなったようで、キャンセル料がもったいないからと声を掛けてもらったのだった。

次のイベントライブの練習になるから、曲は1曲単位でメンバーもバラバラだ。急だったのと共通するメンバーの関係で、2曲2時間。私が参加するのは1曲だけだったので、気は楽だった。

が、「あわよくば」ともう1曲分、楽譜を持って行ったのだ。私の他にギターとドラムはいる。歌は誰かに歌ってもらえればいい。一応なんとなくアタリをつけて打診はしておいた。

 

「あれ?」

スタジオに着いてみると、予想外の人がひとり。今回の課題曲のメンバーではないが、もともとリハでとっていたバンドのギタリストさんであった。

「来ちゃった😊」てへ、みたいに照れたような顔をする。まぁそもそもこの2時間はこのためにキープしてあったはずだ。主役が脇役になっただけのことである。

しかしまず、「シールドを忘れた」というダンナに高そうなシールドを貸してくれ、存在感を示した。

そして端っこで小さくなっていたが、彼は音を良く聴いており、曲が終わると客観的なアドバイスをする。それは的確で、プレイヤーにちょっとした緊張が走る。

 

1時間半ほどで、2曲とも落ち着いた。

「じゃ、やるの?」

ボーカルを振られていたユーちゃんが、こっちを向く。歌わされる割に積極的だなと思いきや、「リキヤくん、どう?『Get along together』のボーカル。」と件のアドバイザーに向き直った。

「へっ!?」リキヤくんは、素っ頓狂な声を出した。

ふたりのやりとりから、彼がこの歌を歌えるらしいことが分かる。

しかし「歌」というのは楽器が自分そのものであるがため、どこか気恥ずかしかったりするものである。こういう場合、皆まず抵抗する。

が、そこはアマチュアと言えどミュージシャンだ。しばらく儀礼的なやりとりがあったのち、観念してマイクを握ってくれたのだった。

 

ところで、言い出した私もまだ、ちゃんと弾けていない状態であった。なのでリキヤくんとユーちゃんの攻防よりも自分のことで精一杯、お礼も言わずにいきなり曲が始まることとなった。

 

彼の歌がどんなだったのか、未だに良く分からない。弾くので必死で、単なるメロディガイドになっていたのだ。

ところがそのガイドが、途中で途絶えた。

淀みなく歌っていたのに、何が起こったのか?しかし曲とは時の流れ、疑問はあれど止まってはくれないものだ。

そしてそれを止めたのは私であった。あまりにもつっかえて何が何だか分からなくなり、曲は自然停止してしまった。

それよりも、「なんでリキヤくん、2番から歌わなかったの?!」

リキヤくんは「え、入り方が分からなくて・・・。だって出だしの時みたいに誰も『はいっ!』とか言ってくれなくて・・・。」とモゴモゴ。

あの凛としたアドバイスとあまりにも対照的な姿が可笑しい。『はいっ!』ってレベルの方でもなかろうに。

 

お陰で、練習にはなった。リハでしか気づけないものがある。

途中からまるっと変えることにした😂ここで気づいて良かった。

全曲リハに入れれば、全曲もっと精度を上げることはできるだろうが、もうぽ子さん限界です。1曲に打ち込めば打ち込むほど、他の曲がおざなりになっていく。

全曲なんて無理だ。

当日どうなるか、今から怖い。

仕上がらなかった曲は、ごめんなさい・・・・・・・・・。