残された食欲との戦いだ。
食欲増進剤を飲ませても、もう自分から食べたがることはなくなってしまった。
食べさせれば食べていたが、その幅も徐々に狭くなってきている。
最初に食べていたササミを食べなくなると、シーバのとろみおやつをかけた。
それも食べなくなり、以前食べていた普通のご飯を食べさせたらそれを食べる。
しかしどれも2回続けて食べると、次はダメだ。
単なる飽きかと、今度はレトルトパックの「焼かつお」を出す。好物だ。これも喜んで食べた。
しかし2回だけだ。
この食事を最後に、もう全く食べなくなっている。
昼になったらサンマを焼いてやろうと思うが、これがダメならもう出せるものがない。
そうなったらもう廃絶と考え、強制給餌をするかどうかになる。
水も飲まなくなってきた。
水飲み場まで連れて行くと飲むには飲むが、その量が減っている。
トイレには、ヨロヨロながら自力で行く。それ以外は、ただひたすら寝ている。
ただ、夕食時に膝に乗ろうとトコトコと歩いて来たのだ。
甘えん坊の習慣であった。
ソファに向かってジャンプ。
ずり落ちそうになったが、まだ昨夜はこんな元気もあった。
静かだ。
苦しそうには見えない。
しかし本人はどうなのか、知ることはできない。
ここへ無理して給餌するべきなのか。点滴をするべきなのか。
ラッキーは今、自然の摂理として死に向かっている。
この状態を強制給餌や点滴で長引かせるのはどうかと思う反面、苦痛があるなら楽にしてあげたい。
点滴は、脱水を緩和するから体が楽になるという。
とは言っても、いつかはこの状態になるのだ。
その時、楽なのはどっちなのか。
点滴の是非が、分からない。
単なる時間稼ぎになってしまうんじゃないか。
このままそっと逝かせたい気持ちに傾いている。
それもまだ、大人しく寝ているこの状態だから言えることなのかもしれない。このまま終わるとは思えない。
病院のストレスを考えると、決断までの残り時間はもうあまりなさそうである。
サンマを食べなかったら、今日だけ強制給餌をしよう。
明日までに心を決めて、恐らく最後になる診察へ行こう。